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尿路結石症について


結石の存在する場所によって『腎結石』『尿管結石』『膀胱結石』『尿道結石』など呼び方は違いますが総称で『尿路結石』といいます。「尿路」とは字のとおり尿が流れる路(みち)のことをいい、胆石などとは性質が違うことが容易に理解できると思います。結石の場所で症状や治療方法もことなることから診察を受けた時に病名を確認する必要があります。

腎結石

通常腎臓に結石が存在する『腎結石』は無症状なことが多く、結石が大きい場合は時に尿に血が混じるのを目で確認できる(肉眼的血尿)こともあります。感染などを伴うと発熱・腰痛などの「腎盂(じんう)腎炎」を併発することがあります。

尿管結石

経験したことのある人であれば二度と忘れないと言われるほどの強い痛みが突然出現する(疝痛(せんつう)発作)のは腎臓にあった結石が尿管に落ち込み尿の流れを堰き止める『尿管結石』の場合です。尿管のどの高さに結石があっても負荷がかかるのは腎臓で急激な圧力の上昇で吐き気・嘔吐を伴う痛みが生じ救急車で来院されることもあります。結石が膀胱に落ちていく過程では、初めのような痛みはなく、下腹の痛みを訴えられる方もいらっしゃいます。膀胱の近くまで降りてくると、結石が膀胱を刺激し常に尿が近かったり(頻尿)、残っている感じ(残尿感)が出現したりします。膀胱内に結石が落ちると痛みや、膀胱を刺激する症状もなくなり、尿と一緒に結石は体の外に排出されます。

膀胱結石

膀胱にある結石は『膀胱結石』とよび通常は排尿ができない方や排尿に勢いが無い方に生じます。男性で膀胱結石を伴う場合は前立腺肥大症や前立腺癌などの病気が存在しないか調べなければなりません。

尿道結石

時に膀胱に落ちた結石が排出されるはずが尿道に引っかかることがあります。この場合は尿が全く出なくなる(尿閉)こともあり緊急的な処置が必要になります。

 

 

2002年に日本泌尿器科学会、日本エンドウロロジー・ESWL学会(現泌尿器内視鏡学会)、日本尿路結石症学会公認で『尿路結石症診療ガイドライン』が発行され、2013年に改訂されました。尿路結石症は治療法だけでなく検査・診断・再発予防に至るまでのガイドラインが記載されており診療の実際に利用できることとなりました。
尿管結石と診断された段階で痛みが強いときは、結石が尿管を閉塞したことによる痛み(疝痛発作)を考え、まず鎮痛剤で痛みをとります。痛みの強い時は吐き気を伴うこともあり坐薬を用います。痛みの感じ方は個人差がありますが、坐薬で治まらないような激しい痛みの場合は、注射使用することもあります。閉塞した状態から結石の横を尿が通り始めると、鎮痛剤を使用しなくても痛みが消えることがあります。大きさが5mm以下の結石であれば自然に出ていくことが多いので、水分を多めにとり、しっかり体を動かし結石が出やすいようにします。結石が移動するときに痛みをともなうことが多いのは動いた際に今まで流れていた尿が再び閉塞することによります。以前は大きな結石や尿路閉塞に伴う水腎症をきたした結石に対しては、体にメスを入れて結石を取り出す開放手術(腎切石術、腎盂切石術、尿管切石術、膀胱切石術など)や、尿道より器械を挿入して結石を砕く膀胱砕石術が行われていました。しかし器械の発達に伴い結石の治療法は大きく変わり、体外衝撃波結石砕石術(ESWL)や、経皮的腎結石砕石術(PNL)、経尿道的尿管結石砕石術(TUL)などの内視鏡をもちいた手術(エンドウロロジー)が主流となり、切開手術はほとんど行われなくなりました。
当院ではESWLはもとより、内視鏡手術では硬性尿管鏡、軟性尿管鏡も所有しており、砕石装置も圧縮空気砕石機やホルミウムヤグレーザーを所有しており、どんな結石にも対処が可能です。

1)    ESWL(体外衝撃波結石破砕術)

ESWLは1985年に日本第1号機が導入され、一躍脚光を浴び1988年に健康保険が適応されました。当院では病院の移転に伴いESWLの機種がシーメンス社製・リソスター・マルチラインに更新され、は2005年4月から運用されております。

適応

腎臓および尿管の結石が、治療の対象になりますが、結石の大きさや場所などによっては、ESWLの適応とならないことがあります。小さすぎる結石は焦点が合わないこともあり通常は排石するのを待ち、大きすぎる結石は別の手術・処置の併用を要します。

治療経過

初回治療は原則1泊2日もしくは2泊3日の入院で行います。2回目以降は結石の状態、ご希望に応じて外来治療にも対応する場合もあります。レントゲンを見ながら焦点を結石に合わせて、衝撃波を体外より結石に当てて破砕を行います。治療時の疼痛緩和のため、痛み止めの坐薬を使用します。破砕の途中で痛みが強い時は痛み止めの注射を使用することもあります。通常は1回の治療に1時間ほどの時間を必要とします。破砕された結石は自然排石するのを待ちますが、全ての結石の破砕が1回の治療で終了するわけではなく、数回の破砕を要することがあります。
合併症

治療後に血尿が出ますが、通常は1-2日で消失します。微熱や疼痛を生じることがありますが、ほとんどは解熱鎮痛剤のみで軽快します。血尿、発熱、疼痛が強い場合は再入院が必要になることもありますし、腎結石で治療した方に極稀に腎臓を覆っている被膜の下に出血する(被膜下血腫)ことがあります。

2) TUL(経尿道的尿管結石砕石術)

適応

以前は硬性尿管鏡を用いて行っており、下部の尿管結石までがよい適応でありましたが、現在は軟性尿管鏡も用いて手術を行っており、腎結石まで治療可能となりました。腎結石に関しては場所によりますが、大きなもので20~25mm程度までの結石までが適応となります。

治療経過

手術は全身麻酔で行うことが多いですが、下部の尿管結石は脊椎麻酔で行うこともあります。尿管鏡という細い内視鏡を用いて結石を確認し、各種の砕石装置によって結石を摘出します。手術翌日より離床を開始し、合併症がなければ術後3~4日で退院が可能となり、入院期間は約1週間程度となります。

合併症

血尿は必発ですが、通常は特に処置を要さず自然に改善する程度です。尿管が狭い場合や屈曲していう場合、無理に内視鏡を挿入すると尿管を損傷する可能性があります。尿管損傷が生じたり、その恐れ場ある場合は、尿管断裂などの重篤な合併症を避けるべく、尿管に管(尿管ステント)を留置して一旦手術を終了し、後日再手術行うこともあります。

3)    PNL(経皮的腎結石砕石術)

適応

25mm以上の大きな腎結石やさんご状結石が適応となります。尿管結石は通常は適応となりません。

治療経過

手術は全身麻酔で行います。背中から腎臓に直接穴をあけ、内視鏡が通るまでその道をひろげます。この穴より内視鏡と各種の砕石装置を用いて結石を破砕して摘出します。治療後は腎臓に管を留置し(腎瘻)を留置し、治療が終了して数日後に抜去します。結石の大きさや状態により、複数回の治療や他の治療との併用が必要となることがあり、治療の進み具合により入院期間も異なります。通常は7~10日程度の入院で行っております。

合併症

血尿は必発ですが、TULと違い腎臓に穴をあけて行いますので、尿路外への出血もあります。稀ではありますが、強い出血が治まらない場合は血管塞栓術などの止血処置を要することもあります。その他、腎臓への穴を作成する際に、腸管や大血管など周辺の臓器を損傷などがありますが、超音波や透視をガイドに行うことで、その頻度は稀なものとなっております。

4)    経尿道的膀胱結石砕石術

適応

膀胱結石が適応となります。

治療経過

膀胱まで内視鏡を挿入し、膀胱内で砕石し摘出します。手術は下半身麻酔で行うため3日間前後の入院が必要です。

合併症

通常膀胱内に結石ができる方は、尿の出が悪いこと(排尿障害)が原因となっている場合が多く、結石を破砕摘除するだけでは、膀胱結石が再発することも少なくありません。そのため、結石の治療とともに、排尿障害の有無の検査と治療が必要になることがあります。