当教室の研究について

進行性核上性麻痺(しんこうせいかくじょうせいまひ)を対象とした医師主導臨床試験のご紹介

2019年4月から、当院では、進行性核上性麻痺の方を対象に臨床試験(試験)を実施しています。試験の内容は、進行性核上性麻痺のすくみ症状に対して、効果があるかどうかを調べるために、試験薬を一定期間内服し、効果を観察するものです。

この臨床試験は、当院への入院および定期的な通院が必要です。そのため、当院に入院および通院可能な地域にお住まいの進行性核上性麻痺と診断された方(おおむね100km圏内:滋賀県湖北および湖南地域、岐阜県、三重県北勢地方、愛知県尾張地方)が対象となります。

進行性核上性麻痺とは

進行性核上性麻痺とは、進行性に動作が遅くなり、目の動きが悪くなり、すくみ足という足の出にくさが生じ、転倒しやすくなる病気です。原因はまだ分かっておらず、根本的な治療薬はありません。図は特徴的な症状を示します(進行性核上性麻痺 診断とケアマニュアル ver 4.0より引用)。

試験薬について、試験の方法について

今回の試験では、進行性核上性麻痺患者さんのすくみ症状や歩行障害に対して、試験薬を内服し、効果(すくみ症状や歩行障害の改善)と安全性(副作用など)に問題がないかを調べます。試験の対象となるのは進行性核上性麻痺と診断された患者さんで、40歳以上、すくみ症状を認める患者さんです。使用する薬剤の一般名は、塩酸トリヘキシフェニジルという、パーキンソン病やパーキンソン症候群に用いられる薬剤です。

今回は、この塩酸トリヘキシフェニジル(有効成分を含む薬剤)または、プラセボ(有効成分を含まない薬剤)を試験薬とし、医師、患者双方が、有効成分を含むか含まない薬剤かをわからなくした上で、治療薬の効果と安全性(副作用の有無)を確認します。約4か月程度の治療観察期間があります。

受付予定期間と当院受け入れ予定人数

受付予定期間は2019年4月から2027年3月までを予定しておりますが、試験の進行状況によっては変更される場合があります。なお、試験の詳細につきましては、試験担当医師が説明いたします。

主な参加基準

<参加できる方> 以下のすべてに当てはまる方が参加できます

  1. 40歳以上である進行性核上性麻痺と診断されたもの

  2. 緩徐進行性の経過を示すもの

  3. すくみ症状を認めるもの

  4. 進行性核上性麻痺の重症度1~5(6の「臥床状態(水平移動)」は除外する)

  5. MMSE 15点以上のもの

  6. 信頼できる介護者がいるもの

<参加できない方> 以下のどれか1つでも当てはまる方は参加できません

  1. 他の臨床試験中のもの

  2. アルコール依存症や薬物乱用の既往を有するもの

  3. 精神障害を有するもの

  4. 抗コリン薬に対する過敏症を有するもの

  5. 高度の肝機能・腎機能障害を有するもの

  6. レボドパが明らかに有効な症例,以下の内服を行っている症例(抗精神薬、抗てんかん薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、メマンチン、免疫抑制剤、ステロイド、抗凝固薬、リチウム、抗コリン薬)

この他にもいくつかの基準がありますので、参加できるかどうかは検査や診察の結果により医師が判断します。詳しくは担当医師におたずねください。

試験実施医療機関

この医師主導臨床試験は、岐阜大学医学部附属病院、国立病院機構東名古屋病院、福岡大学病院、順天堂大学医学部附属順天堂医院、国立精神・神経医療センターで実施いたします。

当院での連絡先
研究代表者 岐阜大学医学部附属病院 脳神経内科 併任講師 國枝 顕二郎
受付時間 平日午前9時~午後4時
外来電話番号 058-230-6000(大代表)
研究責任者 岐阜大学医学部附属病院 脳神経内科 教授 下畑 享良
国立病院機構東名古屋病院 リハビリテーション部長 饗場 郁子
福岡大学病院 脳神経内科 講師 合馬 慎二
順天堂大学医学部附属順天堂医院 脳神経内科 准教授 西川 典子
国立精神・神経医療センター 脳神経内科 脳神経内科診療部長 髙橋 祐二
本試験にご関心のある場合
本試験に関心がある、または、本試験への参加をご希望される場合は、本情報をもとにかかりつけ医にご相談され、上記施設に紹介状をもって予約の上、受診してください。