神経診察の初学者に見ていただきたい動画です．シンガポールの15 歳の男児が，3 週間かけて亜急性に小脳性運動失調を呈しました．動画では順番に，失調性歩行，不安定な継ぎ脚歩行，水平方向注視眼振，指鼻指試験および膝踵試験での運動失調を認めました．画像と脳脊髄液検査は異常なし．血清および脳脊髄液でMetabotropic Glutamate Receptor Type 1（mGluR1）抗体を認め，免疫療法により3ヶ月後には著明に改善しました（動画後半）．mGluR1抗体関連疾患の発症年齢の中央値は55歳と報告され，傍腫瘍性に発症することがありますが，本例のような若年者でも発症し，その場合，傍腫瘍性ではなく自己免疫性であることが多くなります．mGluR1抗体は，当科でcell based assayにて検索可能ですので，ご相談いただければと思います．
Goh L, et al. Teaching Video NeuroImage: Subacute Cerebellar Ataxia in an Adolescent With Antibodies Against Metabotropic Glutamate Receptor Type 1. Neurology. 2022 Sep 2:10.1212/WNL.0000000000201268.
（doi.org/10.1212/WNL.0000000000201268）動画はフリー．