コラム

パーキンソン症候群

2021.07.06

GNAO1異常症とは?@第15回パーキンソン病・運動障害疾患コングレス(MDSJ 2021)ビデオセッション症例解説

標題の学会(大会長.仙台西多賀病院 武田篤先生)が7月1日から3日にかけて行われました.大変,勉強になった素晴らしい学術集会でした.私はリモートでの参加でしたが,「COVID-19と運動異常症update」という特別プログラムで講師を務めさせていただきました.個人的にMDSJの一番の楽しみは,学会員が経験した貴重な患者さんのビデオを持ち寄り,その不随意運動や診断・治療について議論するビデオセッションです.恒例ですので,今年の12症例をブログにまとめました(https://bit.ly/3dNWk1c).教科書で見たことはあるものの経験したことのない抗てんかん薬バルプロ酸による薬剤性パーキンソニズム,神経核内封入体病のwing beating 様の振戦,アテトーゼ型の脳性麻痺と誤診されるGNAO1異常症など勉強になりました.GNAO1異常症は,2013年,Gタンパク質サブユニットαO1をコードする遺伝子変異が明らかにされ,さまざまな臨床像(てんかん,精神運動発達遅滞,運動異常症)を呈することが示されました.運動異常症を呈する患者では,筋トーヌス低下と精神運動発達遅滞がみられ,のちにジストニアと知的障害が明らかになるため,アテトーゼ型脳性麻痺と誤診されることが多いです(動画は患者会HPより:https://gnao1.org/).脳深部刺激療法(GPi-DBS)が有効です.

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