コラム

パーキンソン症候群

2020.03.08

クライオ電顕による神経変性疾患の新展開 -One polymorph, One disease 仮説-

タウタンパクやαシヌクレインといった1種類の病因タンパクが,いくつもの異なる神経変性疾患を引き起こすメカニズムは不明でした.今回,2017年にノーベル化学賞を受賞したクライオ電顕(低温電子顕微鏡法)を用いた,この謎の解明に大きな進展をもたらす2つの研究がNature誌に報告されています.1つ目は,大脳皮質基底核変性症(CBD)のタウの構造は,アルツハイマー病,Pick病と異なるという論文で(図1),2つ目はパーキンソン病と多系統萎縮症のαシヌクレインの構造も異なるという論文です(図2).後者の論文では髄液中の微量の異常αシヌクレインを増幅し,両者の診断の鑑別まで可能にしています(図3).2つの論文は「1つの構造(もしくはタンパクのstrain)が,それに対応する1つの疾患を引き起こすというOne polymorph, One disease 仮説」を支持するものです.いよいよこれらの神経変性疾患の病態,治療に迫る新たなステージに突入した感があります.ブログに解説をまとめましたので,ぜひご覧ください.

https://blog.goo.ne.jp/pkcdelta/e/8ed791c2724850b8e4963735dc3fe0b4?

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