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2020.08.21

無脊髄長大病変の新たな鑑別診断 -自己免疫性GFAPアストロサイトパチー-

前の記事で,脊髄サルコイドーシスが,縦長の脊髄長大病変を呈することを記載しました.もうひとつ長大病変を呈する疾患をご紹介します.当科の工藤琢哉先生が頑張ってまとめた症例報告ですが,自己免疫性GFAPアストロサイトパチー(GFAP-A)という新しい疾患です.症例は約半年前から歩行障害を呈していた65歳男性です.痙性対麻痺,自律神経障害(排尿障害や便秘)を認めました.脊髄MRIでは,頸髄から胸髄にかけて長大病変を認めました.側索に異常信号を認め,FDG PETでは頸髄から胸髄に集積が認められました.抗MOG抗体と抗AQP4抗体は陰性でしたが,木村暁夫准教授が新たにセットアップした抗GFAP抗体のアッセイ系(tissue-based immunofluorescence assay)では陽性と考えられ,ステロイドパルスとIVIGを行ったところ歩行障害は改善しました.長大病変の鑑別診断として,GFAP-Aも検討する必要があります.
Kudo T, Kimura A, Higashida K, Yamada M, Hayashi Y, Shimohata T. Autoimmune Glial Fibrillary Acidic Protein Astrocytopathy Presenting with Slowly Progressive Myelitis and Longitudinally Extensive Spinal Cord Lesions. Intern Med. Jul 14, 2020(doi.org/10.2169/internalmedicine.5074-20

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