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2020.03.08

無セルロプラスミン血症を早期診断できるか?

先週の回診にて,標題のテーマを議論をしました.常染色体劣性遺伝のこの疾患は,セルロプラスミン遺伝子の変異により,生理活性をもつセルロプラスミンが欠損し,その結果,肝,脳などに鉄沈着を生じます.遺伝子変異のホモ接合は約2000,000人に1人と極めてまれですが,鉄キレート薬や亜鉛による治療が可能ですので早期診断が求められます.初発症状は糖尿病が69%,貧血24%,神経症状17%との報告があり,糖尿病,貧血の段階で早期診断し,治療開始できるかがポイントです.議論では,糖尿病患者において血族結婚や網膜色素変性症を認める場合,鉄欠乏貧血であるもののフェリチンが異常高値である場合には本疾患を疑うべきという結論になりました.血液検査(セルロプラスミン↓↓,トランスフェリン↓,銅↓)やMRI T2*画像での脳や肝臓の鉄沈着(下図)を確認し,そして確定診断のための遺伝子解析を行います.
JAMA Neurol. 2019;76(2):229-230.

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