コラム

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2019.10.16

閉じ込め状態にあるALS患者さんは幸せか?

「閉じ込め症候群」とは意識が保たれていながら,眼球運動を除いて,動くことも言葉によるコミュニケーションもできない状態を指します.私が若かった頃,今では考えられませんが,大学病院の病室には閉じ込め症候群のALS患者さんが何人も長期療養されていました.当直の夜,病室の見回りで,何も語らない患者さんに話しかけるとき,とても緊張しました.考えていることや苦痛の程度を想像できなかったためです.Neurology誌に閉じ込め症候群のALS患者さんに対し,近年,開発された「視線入力装置」を用いて,QOLやうつ,人工呼吸器装着下の生活に対する満足度等をインタビューした研究が報告されました.驚くべきことに,患者さんのなかには,過酷な現状にも満足し,生きることに対する意欲を持つ人がいる事実が示されました.神経難病に悲観して自殺幇助を望む人がおられる一方で,厳しい状況であっても,その人生を享受する人もおられるということです.今回の研究から学ぶ必要があると思いました.詳細はブログに記載しました.

ブログ

https://blog.goo.ne.jp/pkcdelta/e/07dedfd7767ac24528adc88f0282f873

文献

Neurology. 2019 Sep 3;93(10):e938-e945.

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