お風呂やプールに長くつかっているとよく「指がふやけ」ます．以前，NHK「チコちゃんに叱られる！」を見ていて，「どうして手足の皮膚だけふやけるの？」という質問があり，シワで濡れたものが滑りにくくつかめるようになるための進化であると解説されていて，なるほどと思いました．その際に少しだけ「自律神経が切断されている人はしわができない」という説明がありました．
手足が（長風呂した時など）ふやける理由とは？（https://www.takumi-inv.com/teasi-fuyake）

この現象を利用した診察所見がNeurology誌に紹介されています．48 歳女性で，感覚神経と自律神経が侵される小径線維ニューロパチー（small fiber neuropathy）の患者です．水にしばらく浸しシワができるか調べたところ（water immersion wrinkling test），指にシワができませんでした（図：Aが患者，Bは対照）。通常，指趾遠位部の無毛皮膚では，水が汗管に浸透して電解質の変化を引き起こし，交感神経終末の発火を増加させ，動静脈吻合に存在するグロムス小体の血管収縮をもたらしてシワができます．しかし自律神経障害があるとこの反応が起きず，シワができないことになります．この検査は感度 71%および特異度 73%と報告されています（Clin Neurophysiol. 2009;120:953-958）．簡単かつ非侵襲的ですので，small fiber neuropathyの診断の際に試してみるべきと思います．
Piedrafita Vico LA, et al. Neurology. 2022;99:962-963. （doi.org/10.1212/WNL.0000000000201320）