コラム

神経所見・検査所見

2021.05.20

Leser-Trélat sign

回診でLeser-Trélat sign(レーザー・トレラー徴候)について議論しました.1984年にEdmund Leser と Ulysse Trélatにより初めて記載されました.図のような脂漏性角化症(色素沈着した皮膚病変)が短期間に出現して急速に増加,増大をきたす徴候で,内臓悪性腫瘍が存在する可能性が示唆されます.すなわち皮膚の腫瘍随伴症候群です.原発は胃,肝,大腸・直腸,膵といった消化管の腺癌が多いようですが,調べてみると,中枢神経でも原発性リンパ腫,胚細胞腫瘍,下垂体腺腫,退形成性上衣腫 ,食道がんの転移,腎がんの転移(SIADH合併)の報告があります.この徴候を診た場合,背景に腫瘍が存在する可能性を疑う必要があります.
N Engl J Med 2007; 356:2184(doi.org/10.1056/NEJMicm062851
Int J Dermatol. 2008;47:643-4(doi.org/10.1111/j.1365-4632.2008.03572.x

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