コラム

神経所見・検査所見

2020.12.08

Green and purple urine

NEJM誌を眺めていたら抹茶のような「緑色の尿」の写真がありました.慢性閉塞性肺疾患の62歳男性が呼吸不全となり,人工呼吸器管理とプロポフォールの持続注入が開始されました.ICUに入室して5日後に尿の変色が生じました.緑色尿の原因として,薬物(プロポフォール,インドメタシン,アミトリプチリン,シメチジン,メチレンブルー),閉塞性黄疸,緑膿菌感染症がありますが,本例ではプロポフォール以外は否定され,実際に注入を中止したところ尿の色は正常化したそうです.プロポフォールは肝代謝ですが,腎臓で排泄される際に生じる良性の代謝物が緑色なのだそうです.珍しい現象と書かれていますが,麻酔科や救急の先生方には有名な現象でしょうかね?また時々見かけるのが紫色尿で,purple urine bag syndromeと呼ばれています.アルカリ性尿中のトリプトファン代謝物(トリプトファン→インドール→インジカン)が細菌によって分解されることで変色します.
N Engl J Med 2020; 383:e128(doi.org/10.1056/NEJMicm2017137
BMJ Case Rep. 2018;2018:bcr2018226395.(doi.org/10.1136/bcr-2018-226395

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