コラム

神経所見・検査所見

2020.09.05

Froment徴候

回診にてFroment(フランスの人名なのでフローマンと読みます)徴候について解説をしました.尺骨神経麻痺において認められる徴候であり,母指と第2指でものを挟む際に,患側の母指が過屈曲を呈する所見です(動画はYouTubeより).原著(Presse Med 23;409,1915)では,折りたたんだ新聞紙を患者の前に差し出し,健側,患側の母指と第2指でしっかり掴ませ強く引っ張らせると,麻痺のある患側では母指IP関節が過屈曲を示し,母指の指尖でしか掴めなくなると記載されています.これは母指内転筋が麻痺しているため,代償的に長母指屈筋が働くためです.
名称の由来のJules Froment(1878-1946)はフランス・リヨン大学の脳神経内科教授です.第一世界大戦後,シャルコーの弟子のバビンスキー(Joseph Babiński, 1857-1932)とともに戦争神経症や戦闘ヒステリーについて共同研究を行い,論文を執筆したことでも知られています.
https://www.youtube.com/watch?v=mhoIuJVgZUE

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