コラム

神経所見・検査所見

2020.08.21

脊髄「前面」の病変を見たら・・・

回診で,脊髄「前面」に沿った線上の軟膜の造影効果を見たら,脊髄サルコイドーシスないし神経梅毒を疑うのだよという話をしました.脊髄サルコイドーシスは脊髄生検が困難なため,画像診断,とくにMRIやFDG-PETが重要になります(後者は脊髄外の生検部位の決定にも有用です).最近,興味深いと思った,62名の患者を集積したJohns Hopkins大学からの論文では,脊髄症状が49例(79%)で初発症状となっていたこと(自覚されやすい),慢性に経過し感覚障害が最も多いこと(感覚障害87%,運動障害53%,膀胱直腸障害31%)が報告されています.さらに脊髄MRIは4パターンに分類でき,①3椎体以上の長大病変(45%),②短いtumefactive病変(23%),③脊髄髄膜炎/髄膜神経根炎(23%),④椎間板変性を伴う脊髄前面病変(10%)でした.急性期にはほぼ全例で造影効果を認め,42%では脊椎ヘルニアなどの機械的圧迫部位に造影効果が認められました.つまり有名な脊髄前面の病変は,機械的圧迫に伴う変化のようです.図のA,Bは2名の患者で,aはT2,bはT1脂肪抑制造影後,矢印は胸椎椎間板の突出部位です.
Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2020 Apr 8;7(4):e722. (doi.org/10.1212/NXI.0000000000000722

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