コラム

神経所見・検査所見

2019.11.11

デュプュイトラン拘縮を合併した遠位型頸椎症性筋萎縮症の一例

今月号のBrain Nerve誌に当科の伏屋公晴先生らが行った症例報告です.左手指の伸展障害を呈した75歳男性で,図にように両側デュプュイトラン拘縮(手掌腱膜が肥厚,線維化することで主に両側の環指・小指が屈曲位となる病態)を認めますが,丹念に神経診察を行うと,それだけでは説明がつかない母指の外転や手関節伸展の障害を認めました.筋力低下の分布からC7-Th1髄節の病変が疑われ,針筋電図でも同部位の脱神経所見を認めたため,遠位型頸椎症性筋萎縮症の合併と診断したという報告です.①手指の伸展障害を呈する2疾患が合併しうることを示した点,②髄節を意識したMMTの詳細な評価がやはり大切であることを示した点で意義があると思います.派手さはありませんが,安藤哲朗先生や園生雅弘先生,福武敏夫先生からご教示いただいたことがきちんと身についているようで嬉しい論文でした.(Brain Nerve 71;1303-7, 2019)

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