コラム

神経所見・検査所見

2019.01.31

矩形波眼球運動(square-wave jerks:SWJ)

回診にて矩形波眼球運動(square-wave jerks:SWJ)について議論しました.「矩形波」ということばが難しいのですが,「矩形(くけい)」は長方形の意味です.「矩形波」とは眼電図所見を述べていて,診察所見からついた名前ではありません.診察での特徴は,衝動性の眼球運動が水平方向にのみみられ,小振幅の動きのため「カメラをまっすぐ見て」と言ってもズレてしまい,すぐに反対向きに元の位置に戻る眼球運動を繰り返します.眼電図では振幅5°度以下の規則正しい眼球運動の反復が記録されます.振幅が大きく,5°以上(10~15°)のものをmacrosquare-wave jerksと呼んでいます.水平方向性の衝動性眼球運動の反復は「眼球粗動(ocular flutter)」でもみられますが,こちらは衝動性眼球運動と次の衝動性眼球運動の間に休止時間がありません.これに対しSWJでは動画のように休止があり鑑別点になります.SWJの病変部位は主に小脳と考えられています.疾患では進行性核上性麻痺では初期から高頻度にSWJがみられ,MSA-Pも固視不良でSWJを認めることがあります.動画はYouTubeより.

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