コラム

神経所見・検査所見

2018.11.16

Faciobrachial dystonic seizure(FBDS)を見逃さない!

昨日の回診でFBDSについて議論しました.自己抗体により引き起こされる異常運動ですが,部分発作やミオクローヌスと間違えられ,適切な治療が行われず,認知症に至る可能性があります.発作症候は典型的で,非常に短く(3 秒以内),頻回で(1 日 50 回にも及ぶ)常同的なジストニー発作です.顔面と同期して同側上肢に生じることが大半ですが,体幹や下肢におよぶこともあります.疑った場合,抗 LGI1 抗体を速やかに確認します.Brain誌に報告された103例の抗LGI1抗体陽性FBDS症例の検討では,FBDSの出現後90日目には,56%の症例で認知機能障害が出現すること,抗てんかん薬はわずか10%の症例でしか効かないこと,免疫療法は有効であるものの,治療が遅れた症例や,認知機能障害が出現した症例では,効果が乏しいことが示されています(Brain. 2018 ;141:348–356).FBDSを知って,見逃さないことが重要です.動画はLancet. 2014;383: 9933のものです.

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