コラム

神経所見・検査所見

2018.11.08

滑車神経麻痺の診察のしかた

病棟回診で,滑車神経麻痺の診察の仕方を皆さんに見てもらいました.通常,患眼の内下方制限,および「Parks 3段階法」によって行います.後者は正中視での上下のズレ,右方視,左方視での上下のズレの改善・増悪,頭部傾斜による上下のズレの改善・増悪(Bielschowsky頭部傾斜試験)を段階的に調べます.分かりやすいYouTube動画がありましたのでご覧ください.つぎは上級者編です.動眼神経麻痺を合併するときの診察です.上斜筋が最大の下転作用を示す眼球内転位を向くことができないため,上記の方法はすべて無効になってしまいます.この場合,上斜筋麻痺の有無を調べるためには,上斜筋の内方回旋作用を利用します.つまり患眼が内下転しなくても,内下転あるいは下転を命じ,眼球の内方回旋が起これば上斜筋は正常,起こらなければ上斜筋麻痺と診断します.声をかけて勢い良く内下転していただくのがコツです(臨床神経眼科学;金原出版).

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