コラム

神経所見・検査所見

2018.03.11

Bruns眼振と小脳橋角部腫瘍

4年生の症例発表会で,Bruns眼振について議論しました.水平注視方向性の眼振ですが,病変側を注視した際,振幅が大きく頻度が少ない眼振(注視麻痺性眼振)となり,健側を注視した際に,振幅が小さく頻度が多い眼振(前庭性眼振)となります.患側に向かうと視線保持ができず,反対側を向くと前庭神経系のインバランスが起こり不揃いの眼振が起こると考えられます.この特徴的な眼振を認めた場合,小脳橋角部腫瘍を疑い,さらに聴力をチェックして低下があれば聴神経腫瘍をまず考えます.Bruns はドイツ人神経内科医のLudwig Bruns(1858-1916)のことで,ベルリンのシャリテ病院に勤務していました.小児神経学を専門としたそうですが,神経腫瘍学にも精通し,小脳橋角部腫瘍に特徴的な眼振に気がつきました.動画はユタ大学が公開している教育ビデオより.

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