コラム

神経所見・検査所見

2017.08.29

美しい幻覚 -中脳幻覚症-

先日,後頭葉てんかん患者さんが描いたきれいな模様を提示しましたが,林祐一講師が素敵な絵が書かれた論文を教えてくださいました.当科が以前経験した脳幹脳炎の患者さんで,中脳幻覚症を呈した方が書かれた幻覚(幻視)を,絵に描いてくださったものです.Aは初夏の池の周りで遊ぶ大人と子供,Bは城下町を歩く人,Cは台風の目です.中脳幻覚症はLhermitte(Lhermitte徴候で有名)が1922年に記載したもので,中脳病変にともなって現れます.夕暮れに,動物や人物がはっきりした形で出現し,患者さんは幻覚であることを自覚しています.精神病や意識障害はありません.ちなみに橋被蓋病変では幻聴になります.林先生は「幻視の場合,その見え方,シチュエーションをお聞きして,可能なら絵に書いてもらうことが大切」と仰っています(参考文献:Hayashi Y, et al. Neurology 2012;79:1625).

http://www.neurology.org/content/79/15/1625.full

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