コラム

医療と医学

2023.08.25

MOG抗体関連疾患(MOGAD)と視神経脊髄炎(NMOSD)と多発性硬化症(MS)のMRIによる鑑別ポイント

標題に関してとても分かりやすい図を掲載した総説がありました.以下,まとめです.

1)視神経(図1)
MOGAD ではガドリニウム造影病変(Gad+)は前方に長く,視神経鞘や眼窩脂肪の異常信号や乳頭浮腫を伴う.NMOSDではGad+は視神経交叉に認められる.MSではGad+は短く,多くの場合,中ほどに認める.Gad+は通常経過観察ですべて消失する.
2)脊髄(図2)
MOGADでは脊髄のT2病変は長大で多発し,脊髄円錐も傷害し,軸位断ではH型を呈する.NMOSDでは単発性で長大で,軸位断で中央に円形を呈する.MSでは多発性,短く,辺縁に認められる.経過観察では MOGADの病変はしばしば消失するが,NMOSDとMSでは残存し,MSでは新たな病変が生じる.
3)大脳病変
①MOGAD(図3)
FLAIR異常信号を,橋,中小脳脚,視床,大脳白質,皮質に認め,Gad+は軟膜・くも膜に認める.6~12ヵ月後の寛解期では,病変の大部分またはすべてが消失する.
②NMOSD(図4)
FLAIR異常信号を第4脳室(最後野),第3脳室,内包,脳梁膨大部に認め,Gad+は上衣に線状に認める.フォローアップでは,異常信号は劇的に減少するが,持続し消失しない.
③MS(図5)
FLAIR異常信号はMOGADやNMOSDより小さく,より末梢に認める.環状または開環状のGad+を伴う卵形および脳室周囲病変である.フォローアップでは,異常信号は残存する.ただしGad+は消失する.

NMOSDでは初回発作後に維持療法を開始すべきであるが,MOGADでは半数以上の症例で単相性の経過を取るため,一般的には2回目の発作が生じるまで維持療法は開始しない.

Cacciaguerra L et al. Treatment. A Tale of Two Central Nervous System Autoimmune Inflammatory Disorders. Neurol Clin. August 07, 2023(doi.org/10.1016/j.ncl.2023.06.009

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