コラム

医療と医学

2023.02.24

良い睡眠が認知症予防に有効である根拠とされる動画

今朝のカンファレンスで学生に見てもらった動画です.加速度ニューロイメージングを用いたfMRI画像で,ノンレム睡眠中のヒトの脳を調べたものです.赤と黄色が脳血流(血液の酸素化)で,これに先行する脳波(徐波)と密接に関連しています.血液が脳から流出すると脳圧が下がり,脳脊髄液(青)が速やかに流入して脳圧を保ちます.この徐波→脳血流増加→脳脊髄液増加というサイクルは約20秒で繰り返します.脳脊髄液の脈打つような波動により,洗濯機のすすぎのような仕組みが生じ,アミロイドβやタウなどの脳内の代謝性老廃物が除去されます.しかし加齢により睡眠中の徐波が減少すると,脳血流に影響が生じ,脳脊髄液の波動も減って,老廃物が蓄積して記憶能力低下につながると考えられています.つまり良い睡眠の確保は認知症の予防の重要な手段と考えられるわけです.
Fultz NE, et al. Coupled electrophysiological, hemodynamic, and cerebrospinal fluid oscillations in human sleep. Science. 2019;366:628-631.(doi.org/10.1126/science.aax5440

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