コラム

医療と医学

2021.11.22

抗IgLON5抗体関連疾患の臨床像(総説)

当科にて抗体アッセイ系を確立し,最近,お問い合わせが増えている抗IgLON5抗体関連疾患の総説を執筆しました.病理学的にタウの沈着を認めることから,自己免疫性タウオパチーとも呼ばれている疾患です.睡眠障害型,球麻痺症候群,運動異常症型など表現型が多彩で,PSP/CBS,MSA,球麻痺型ALSといった神経変性疾患のなかに紛れ込んでいる可能性があります.海外の症例集積研究では72例中27例(38%)が運動異常症型で,PSP様症候群が14%でした. 私どもは大脳皮質基底核症候群(CBS)を呈した症例を報告しましたが,中国からも最近,13症例の臨床像が報告されました(睡眠障害8名,認知障害7名,運動異常症6名でした).どのようなときに本症を疑うかについては,①閉塞型無呼吸,喉頭喘鳴に睡眠随伴症を認める症例で,その他の神経症候や脳脊髄液検査異常(細胞数増多や蛋白上昇)を合併する場合,②本文に記載した特徴的なV-PSG所見を呈する症例,③PSP/CBSや認知症が疑われる症例で,上述の特徴的な睡眠障害や脳脊髄液検査異常を合併する症例,④病初期から喉頭喘鳴,上気道閉塞による急性呼吸困難,重度の嚥下障害に,上述の睡眠障害を認める症例としました.このような患者さんがいらっしゃいましたらご相談をいただければと思います.なお論文は以下のURLからフリーでダウンロードできます.ご参考になれば幸いです.

◆抗IgLON5抗体関連疾患の臨床像(doi.org/10.5692/clinicalneurol.cn-001673

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