コラム

医療と医学

2020.12.02

神経細胞の美しさ -カハール刺繍プロジェクト-

私が学生のみなさんに紹介している大好きな本に「Beautiful Brain: The Drawings of Santiago Ramon y Cajal」というものがあります(https://amzn.to/3fY1aIN).これはスペイン出身の神経解剖学者サンティアゴ・ラモニ・カハール(Santiago Ramón y Cajal, 1852 -1934)が描いたゴルジ染色による脳細胞のスケッチ集です.2018年のブログに「あまりの美しさに,今年一番,感激した本です」と書いて紹介しています(https://bit.ly/33yU5d4).彼は1906年にゴルジと共にノーベル生理学・医学賞を受賞し,今日の神経科学・神経解剖学の基礎を築き上げた巨人です.その彼が1920年にスペインのマドリッドにカハール研究所を設立し,今年は100周年になるそうですが,それを記念して標題のプロジェクトが行われたと,最新号のLancet Neurol誌に記事が掲載されています.6カ国,75人以上のボランティアが協力し,カハールのスケッチを81枚の精巧な刺繍のパネルに仕上げました.上から3列は,カハールのオリジナルのスケッチ(左)と刺繍(右)のペアになっています.下3列は刺繍を拡大表示しています.81枚を縫い合わせると,4 平方メートルを超える傑作となります.ぜひカハールのスケッチと神経細胞の美しさを知っていただきたいと思います.
Lancet Neurol. 19, 979, 2020(doi.org/10.1016/S1474-4422(20)30348-3
Beautiful Brain: The Drawings of Santiago Ramon y Cajal 4199円 https://amzn.to/3fY1aIN
ブログ:読書案内(医学生,レジデント篇)https://bit.ly/33yU5d4

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