コラム

医療と医学

2020.01.06

視放線とAdolf Meyer

今朝のカンファレンスで,下1/4盲について議論しました.レンズ核の後方に脳梗塞を疑わせる高信号病変がありました.「視放線はここまで伸びているのか?」と質問したところ「上側の視放線はそこを通ります」と東田和博先生がキッパリ返答しました.Tractographyを探してみると,眼球から視交叉,鳥距溝まで含む図がほとんどでしたが(図左),レンズ核を含む断面の図を見つけました(図中の黄色丸の部分に梗塞).ちなみに下側の視放線はMeyer係蹄として有名ですが,先月号のBrain誌に,名称の由来であるAdolf Meyer先生(1866-1950;図右)に関するコラムがありました.最も有名な米国の精神科医の一人ですが,もとはDejerineやCharcotにも教えを受けた神経解剖学者で,視放線に関する論文を1907年に執筆しました.そして1910年,脳外科医の父と呼ばれるHarvey Cushing先生と邂逅し,その後,視放線の研究は発展したとありました.とても面白い論文でした.
World Neurosurg 117, e42-e56, 2018; Neural Regen Res 14:446-9; Brain. 2019 Dec 20. pii: awz401.

一覧へ戻る