コラム

医療と医学

2019.10.15

GRADEアプローチ -世界標準のガイドライン作成手法-

現在,慢性頭痛の診療ガイドライン(日本頭痛学会)の改訂作業中で,昨日はメンバーとともに,一日,品川の会議室にこもりました.やや分かりにくい世界標準のガイドライン作成手法「GRADEアプローチ」についてまとめてみます.これはGrading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation(GRADE)ワーキンググループによって開発されました.従来と異なり,GRADEでの表記は数字(1か2)+英語(AからD)の組み合わせからなります(1A,2Cなど).作業過程で最初に決定するのは英語(AからD)で「エビデンスの強さ」を示します.従来は各文献に対して評価していましたが,GRADEでは「Clinical question(CQ)に対するエビデンス総体」に対して評価する点がポイントです(表1).次に数字(1か2),つまり「推奨度」を決定します(表2). 1=強く推奨する(推奨する),2=弱く推奨する(提案する)の2段階で,さらに「実施する」ことを推奨するか,「実施しない」ことを推奨するかの分類となります.最後に重要なのは,数字と英語の関係は独立していることです.つまり推奨度が1であればエビデンスの強さに差はあっても(つまり1Aでも1Cでも)同じように「推奨」されます.推奨度の決定は,エビデンスの強さを基にしつつ,臨床的有用性の大きさ・有害事象なども踏まえて委員会で議論を尽くし投票により決定します.注意すべきは,エビデンスの質が低い場合に「臨床的有用性」だけが独り歩きすることかと思います.

(参考)GRADEワーキンググループ HP

http://www.gradeworkinggroup.org/

Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017

https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/guideline/pdf/manual_all_2017.pdf

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