VOICE~岐大医学部から~
退職教授からのメッセージ
生体管理医学講座
麻酔科・疼痛医学分野
教授 飯田 宏樹 先生
『VOICE-岐大医学部から-』第123回は、令和4年3月をもって退職となった、医学系研究科 生体管理医学講座 麻酔科・疼痛医学分野 教授 飯田 宏樹 先生にお話を伺いました。
教員生活を振り返って
1981年に岐阜大学麻酔科に入局以来、2年半の関連病院勤務、半年の国内留学、2年間の国外留学を除き35年以上、この岐阜大学附属病院に勤務し、外来医長・病棟医長・医局長・科長として過ごしました。岐阜大学を中心とした勤務でしたが、大学のみならず岐阜周辺の地域医療を如何にレベルを上げ維持するかに心を砕いてきました。
その中で考えてきたことは、研究も臨床も重要だが、臨床医として生きる以上、臨床に役立つ研究をしよう、研究で培った科学的思考で臨床をしようということでした。
研究・臨床のキーワードは「脳・脊髄循環」「依存性薬物(ニコチン・タバコ)」「安全な周術期管理」「痛みの制御」です。一見バラバラですが、私の中では絶妙につながっており、それぞれが他の内容からヒントや刺激を得ていました。臨床医として、専門性を研ぎ澄ますのも一つの考え方ですが、機会があれば何にでも興味を示し、打ち込んでいくことは、他の領域でも役に立ったことが多かったように思います。また、学会や社会活動を通して、目の前にいる患者を救うだけでなく、より広い範囲で医療に貢献することを目指すことも重要だと感じて活動をしていました。
次世代へのメッセージ
臨床医であれば、日常の診療に追いまくられ、それ以外の研究や社会活動にまでなかなか立ち向かえないような気になっている先生方も多いかも入れません。しかし、自分の限界を簡単に決めないで、もっともっと自分の可能性を信じて広い視野で仕事をしていってもらいたいと思います。海外への留学も良いでしょうし、そうでなくても学会活動・社会活動を通して、多くの仲間(仕事仲間・遊び仲間)を得ることは充実した仕事を遂行するためにも、人生を楽しむうえでも大切だと思います。何かを始めるにあたって、最初は周りや自分自身にも障壁が高いように感じるかもしれませんが、どんなことでも始めることに関して遅いことはないので前に進んでいってくれたらと思います。情報がありすぎて、考えすぎるために何もできなくなっていることもあろうかと思いますが、先生方の可能性は無限に広がっていると思います。ただ、待っているだけでは何も始まりませんので、来るべき時に向けて準備を怠らないことは大切であり、機会が訪れたら、勇気をもって一歩踏み出してくれたらと願っています。ぜひ一度しかない人生ですから、常にポジティブな思考で、物事を捉えていけば、先は開けると思います。頑張ってください。
略歴
1981年 | 岐阜大学医学部卒業 岐阜大学医学部附属病院研修医(麻酔科) |
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1983年 | 総合大雄会病院医師(麻酔科・集中治療部) |
1987年 | 岐阜大学医学部助手(麻酔・蘇生学) |
1988年 | 関東逓信病院ペインクリニック科 |
1989年 | 岐阜大学医学部助手(麻酔・蘇生学) |
1991年 | 米国ジョンスホプキンス大学留学 (Dept of Anesthesiology and Critical Care Medicine) |
1994年 | 岐阜大学医学部附属病院講師(麻酔科蘇生科) |
1999年 | 岐阜大学医学部助教授(麻酔・蘇生学) |
2010年 | 岐阜大学大学院医学系研究科教授(麻酔・疼痛制御学) |
2014年 | 岐阜大学医学部附属病院副病院長併任(~2018年) |
2015年 | 岐阜大学医学部附属病院手術部長併任 |
2021年 | 岐阜大学大学院医学系研究科教授(麻酔科・疼痛医学) |
学会役員
日本ペインクリニック学会(評議員・代表理事) | |
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日本神経麻酔集中治療学会(評議員・理事長) | |
日本疼痛学会(評議員・理事) | |
日本慢性疼痛学会(評議員・理事長) | |
日本麻酔科学会(代議員) | |
禁煙推進学術ネットワーク(理事) | |
日本脳神経モニタリング学会(理事) | |
日本臨床麻酔学会(評議員) | |
日本蘇生学会(評議員) | |
日本区域麻酔学会(評議員) |
受賞
1998年 | 日本麻酔科学会 山村記念賞 |
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1998年 | ASTRA Research Award |