VOICE~岐大医学部から~
退職教授からのメッセージ
生命原理学
薬理病態学分野
小澤 修 先生
『VOICE-岐大医学部から-』第128回は、令和5年3月をもって退職となった、医学部医学科 薬理病態学分野 小澤 修 先生にお話を伺いました。
教員生活を振り返って
1982(昭和57年)年3月に岐阜大学医学部を卒業した時点では内科医になることを決めておりました。したがって、その時点で「研究者をめざす」などという志は露ほどもありませんでした。しかし、内科学講座大学院在学中に生化学講座への国内留学の機会があり、指導教授から「生化学という禁断の実」を食べさせられたお陰で、大学卒業後8年半が経過しておりましたが、臨床医を辞める決断をいたしました。その後、幸いなことに、1995年(平成7年)10月より母校薬理学講座で研究職を得ることができ、今日に至りました。
2002年3月より研究室を主宰するに当たって、研究のプロジェクトとして、「骨代謝における骨芽細胞の機能解析」と「健常人及び病態におけるヒト血小板機能の解析」を柱といたしました。疾患として、超高齢化社会を迎えた我が国の高齢者疾患の中でも「骨粗鬆症」と「急性冠症候群ないし脳梗塞」をターゲットとしました。骨芽細胞の機能解析は「骨粗鬆症の予防および治療」に繋がる基礎的研究です。一方、ヒト血小板の活性化亢進は血栓形成がトリガーとなり急性冠症候群ないし脳梗塞を惹起しますので、その基礎的・臨床的研究は「血栓形成の予防および治療」に直接繋がります。加えて、「生体のストレス応答」に興味を持ち、「ヒトの病態におけるストレスタンパク質の役割の解析」を三つ目の柱としました。私の21年1ヶ月に亘る教授在職中、学内外の多くの臨床医学教室と共同研究を進めることができ、岐阜大学薬理学教室で研究し、その成果で学位を取得した人は40名になりました。
次世代へのメッセージ
臨床医学の場におきましても、基礎医学研究の場におきましても、特にスタートから初めの10年の間に「一流の臨床医・研究者」に接することが極めて重要です。一か所の狭い世界のみで仕事を続けるのではなく、国内外を問わず積極的に外に出て、一流の方々に接し、指導を受けることです。その方々の立ち居振る舞いを含め、色々なことを学び糧とすることで、はじめて自らを成長させ、ステップアップすることができるのです。是非、その機会を多く持てるよう絶えず心掛け、準備し、チャンスがきたら直ちに実行に移して戴きたいと思います。
略歴
1982年 | 岐阜大学医学部医学科 卒業 |
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1982年 | 社会保険中京病院内科 研修医 |
1984年 | 社会保険中京病院内科 医員 |
1984年 | 厚生連久美愛病院内科 医師 |
1985年 | 名古屋大学大学院医学研究科博士課程内科学第一 |
1989年 | 名古屋大学大学院医学研究科内科学第一研究生 |
1990年 | 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 主任研究員 |
1994年 | スウェーデン王国ウプサラ大学ルードヴィヒ癌研究所 博士研究員 |
1995年 | 岐阜大学医学部薬理学講座 助教授 |
2002年 | 岐阜大学医学部薬理学講座 教授 |
2005年 | 岐阜大学大学院医学系研究科 薬理病態学分野 教授 |
2020年 | 国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学大学院医学系研究科 薬理病態学分野 教授 |