概要

VOICE~岐大医学部から~

医学部看護学科長からのメッセージ

医学部 看護学科
成人看護学講座 成人看護学分野
教授 足立 久子 先生

『VOICE-岐大医学部から-』第98回は、平成31年4月から医学部看護学科長に就任された、医学部看護学科 成人看護学分野 教授 足立 久子先生にお話を伺いました。

看護学科が抱える課題

 岐阜大学で成人看護学慢性期を担当して20年、糖尿病の方々のQOLの問題をメイン・テーマにしてきました。この度、4月1日付けで医学部看護学科長の重責を担うことになりました。思いもかけないことで、戸惑っています。
 社会の急激な変化と学術研究の急速な進歩は、看護学と看護職養成の教育にも大きな影響を及ぼしています。課題の多さと大きさを、看護学科の誰もが感じているのではないでしょうか。
 大学における看護学教育は、1952年に公立大学家政学部に日本で初めて看護学科が設置され、1975年には6大学、1992年の「看護師等の人材確保の促進に関する法律」の施行等により看護系の大学は急激に増え、現在272校となっております。このような状況にあって、岐阜大学の看護学科も、学内外から他の大学にない特色ある教育と研究が求められております。大学の置かれている社会的な状況から、今後は一層厳しい改革に対処することになります。
 期待される看護職の役割も時代とともに変化し、今日では少子超高齢化、疾病構造の変化、医療技術の進歩、医療を担う人材の確保の問題など、従来に増して多様・複雑化、高度化しております。「大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会」(文部科学省、2017.10)では、社会の変化に即応できる看護者であるためには、「様々な場面での人々の身体状況を観察・判断し、状況に応じた適切な対応ができる看護実践能力が求められている」としています。そして、学士課程における看護職養成の充実と社会に対する看護の質を保証するための「看護学教育モデル・コア・カリキュラム」を策定しました。本学科も今年度からこのカリキュラムの内容に基づき、看護実践能力を高めるために教育課程の一部を変更いたしました。
 大学における看護職養成のための教育は、職業人(看護職)養成とともに看護専門職の育成を目的とした看護学基礎教育を行うことにあります。看護学は臨床・実践の学問ですから、看護学教育の中核に臨地実習が置かれます。「大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会」(文部科学省、2017.10)の報告においても、看護実践能力は、学生が「看護サービスを受ける対象者と相対し、緊張しながら学生自ら看護行為を行うという過程で育まれていくもの」であると言っております。
 当学科では、病を持った人を生活者として捉え、看護実習を重視し、最新の看護知識・技術と実習体験を互いに関係づけるように指導しており、個々の患者さんに最適な科学的根拠に基づいた看護を提供できる看護実践能力の育成に努めています。そのためには、臨地実習の病院や施設等の指導者と看護学科の教員との連携をより一層密にする必要があります。学生には、臨地実習を通して、基礎的な知識・技術を「点」から「線」になるように体系化し、主体性、責任感、判断力、倫理観、人間関係調整力等を育成し、最近の多様な学生に対応するため、学生の心身の健康状態に配慮しながら、個々の学生へのきめ細かな教育に心掛けております。学生には、卒業後に、どのような地域の、どのような医療環境の、どのような施設の看護職になっても、さまざまなニーズに適切に対応できるアセスメント能力を持ち、看護専門職としての職務を果たせることを期待しております。同時に、看護学科の教員が、学生に質の高い教育を提供するとともに、自身のFDの充実や研究活動を推進させるために、職場の環境や組織作りも、看護学科の課題であると思っております。
 これらの問題に対処するため、医学科との連携を緊密にし、学内外の関係部局、機関の協力を得て取り組んでいきたいと思っております。病者もまた生活者であるという基本に繰り返し立ち返りながら。ご協力とご支援をお願い致します。

略歴

1980年 名古屋大学医学部附属看護学校 卒業、同助産婦学校 卒業
名古屋大学医学部附属病院勤務(助産婦、看護婦)
1990年 岐阜医療技術短期大学 助手
1992年 The Queen's Medical Center(米国、ハワイ州) 3ヶ月間実務研修
1994年 佛教大学社会学部社会福祉学科卒業 社会学士
1997年 岐阜大学大学院教育学研究科修士課程(学校教育専攻・心理学)修了 教育学修士
1998年 岐阜大学医療技術短期大学部看護学科 専任講師(成人看護学)
2005年 岐阜大学医学部看護学科 助教授
2006年 名古屋市立大学大学院人間文化研究科博士課程修了 人間文化博士
2007年 岐阜大学医学部看護学科 教授
2019年 4月より現職



Page top