VOICE~岐大医学部から~
高度先進外科学分野からのメッセージ
医学系研究科 病態制御学講座
高度先進外科学分野
教授 土井 潔 先生
『VOICE-岐大医学部から-』第74回は,2016年1月に就任されました,医学系研究科 病態制御学講座 高度先進外科学分野 教授 土井 潔先生にお話を伺いました。
外科医になられたきっかけは?
思い起こせば、小学生の頃には既に、外科医になりたいと思っていました。マンガ(ブラックジャック)の影響もありますが、育ったところが田舎ということで、子どもの頃から、生き物を身近に感じる環境にあり、生きているものに興味を持つ機会に恵まれたからです。たまたま、生物の中で人間が対象になっただけで、医師になっていなかったとしても、何か生命を探求する仕事に就いていたに違いないと今でも思うほど、生命に興味がありました。
教室をどのようにもり立てて行きたいですか?
専門医制度ができたことによって、学生は早いうちから進路を決めてしまう傾向にあります。多くの選択肢がある中で、外科というのは、ドラマやドキュメンタリー番組等でよく取り上げられるため、目指す方が多いイメージがあります。しかし、労力の割に報われないという現実があり、最近は敬遠されるようになりました。このまま行くと、外科医が確実に不足するという状況です。私は医学部の教授として、こうした現状を打破すべく、敬遠されるようになった外科の魅力を学生に伝えたいと思います。確かに、外科は大変だと思います。しかし、その大変さ以上にやりがいを見いだせる分野であることを学生に知って貰い、外科医を目指す学生を増やし、育てて行きたいと思っています。
また、外科医として、心臓手術の数をどんどんこなし、岐阜大学医学部附属病院の医療に貢献していきたいと考えています。
医師を目指す学生へのメッセージ
早くどの専門に行くかを決めた方が、早く高いレベルに到達するのは間違いありません。しかし、私は、外科医になろうと思ってはいましたが心臓血管外科を最初から希望していたわけではありませんでした。一般外科において臨床経験を積んだ後、研究に3年ほど専念し、最終的に心臓外科を選択したときは、30代前半であり、同年代は、既に専門を決め、先を走っていました。しかしながら、すばらしい先輩や好運に恵まれて、現在岐阜大学教授の職に就いています。結局、やりようによっては、追いつくことができるわけです。
研修制度が変わり、専門医制度ができたことで、早くキャリアを積まなければ負けてしまうという危機感があることはわかりますが、それに流されることで自分の幅を狭めないで欲しいと思います。回り道をすることを損だと思わず、いろいろな専門研究機関で、多くの人と仕事をしてください。考え方も変わりますし、視野も広がります。
自分の経験を踏まえて、医師を目指す学生さんには、「近道を選ぶな。回り道を恐れるな。」というメッセージを送りたいと思います。
略歴
1989年 | 京都府立医科大学 卒業 |
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京都府立医科大学附属病院 第二外科 研修医 | |
1991年 | 明石市立市民病院 外科 医師 |
1998年 | 京都府立医科大学大学院 修了 |
京都府立医科大学附属病院 第二外科 助手 | |
1999年 | 豪州ストラスフィールド病院 心臓胸部外科 フェロー |
2000年 | 豪州ジョンハンター病院 心臓部胸部外科 レジストラー |
2002年 | ニュージーランドワイカト病院 心臓胸部外科 レジストラー |
2003年 | 京都府立医科大学附属病院 心臓血管呼吸器外科 助手 |
2005年 | 同 心臓血管外科 講師 |
2016年1月 | 現職 |