VOICE~岐大医学部から~
医学教育開発研究センターからのメッセージ
医学教育開発研究センター
教授 西城 卓也 先生
『VOICE-岐大医学部から-』第120回は、令和3年6月に就任されました、医学教育開発研究センター 教授 西城 卓也 先生にお話を伺いました。
医学教育開発研究センターの紹介
医学教育開発研究センター(MEDC)は、2001年に産声を上げ、2010年からは医学教育の共同利用拠点として文部科学省に認可されています。日本の医学教育の新しい潮流を形成するため、全国の医療系大学に在籍する教職員や臨床研修指定病院の指導医を対象としたセミナーや講習会を開催するのが大きな役割の一つです。卒前教育においては、初期体験実習・地域体験実習・医学概論・ライフサイクル・臨床推論といった講座横断型の科目を担っています。そして学内の医学教育の円滑な運営・改善・改革にも、医学部の各部門や委員会とともに取り組んでいます。
現在研究している内容について
評価学・カリキュラム開発・教育法が三大基本領域である医学教育学の中では、主に教育手法を専門研究領域としています。また医療者が優れた教育者の役割も果たせるようになることを支援するのが私の役割のひとつですので、教員/臨床指導医養成のほか、医学教育部門の機能と教育者アイデンティティ、臨床教育海外研修の効果などといった継続的教育能力開発に関する研究も行っています。
医学教育開発研究センター教授としての抱負
岐阜大学医学部の医学教育といえば、導入当時革新的だったPBLチュトーリアル教育が注目されがちです。しかし教育のアプローチは、時代とともに変化します。特にDx時代であることに加えて、ニューノーマルの生活様式に変容する現代の背景もあり、教育は劇的な変革を迫られています。一つ強調したいことですが、コロナ禍前の教育に戻ることは、もはや回復ではなく、後退を意味します。今後は、ライブ(同期型)⇔録画(非同期型)、対面(現場)⇔オンライン(仮想空間)の2軸をもって教育を4象限に分割して考えることが教育方法を考える基本的枠組みとなります。そしてその枠組みから従来の授業や実習、6年間のカリキュラム、評価を再編成することで、はじめて医学教育のニューノーマルが浮かび上がってきます。
私は今後、空間的・時間的制約のないボーダレスカリキュラム・ブレンド型学習・プログラム化された評価・人間臭い現場学習、これらをキーワードとして、ニューノーマルの医学教育を創り上げる所存です。そして新たな時代を駆け抜けることができる卒業生の皆さんを輩出できるような岐阜大学医学部の医学教育システムを構築すべく、教育のハブセンターとしてMEDCが機能できることを目指しています。
また、いつでもどなたでもお気軽にMEDCをノックしていただける雰囲気、そして教育に関する意見をたくさんお聞かせ頂き闊達な意見交換で賑わうセンターでありたいと願っています。そのためには、学生の皆さんや学内教職員との丁寧な対話を心掛け、目の前の教育実践の改善、及び将来を見据えた改革の両輪を意識しながらこの職を務めたいと考えています。
医師を目指す学生へのメッセージ
皆さんには、心身のバランスを保ちながら、学生生活を謳歌してほしいと切に願っておりますし、その支援の一助となりたいと考えています。私からメッセージと言えるほどのものはないのですが、日頃私が努力していることを二つ記します。
昼は働き、夜は夢みる
日本の年表に記録として残る、そして人間の記憶に残る激動の時代を、私たちは生きています。このような状況をどのように捉えているでしょうか。苦難はもちろんありますが、非常に大きなチャンスが到来しているとも言えます。世の中が変わりゆくときは、まさにニューノーマルのイメージが確実に見えている若者は大活躍するチャンスと言えます。学生の皆さんは、医師を目指して研鑽を積んでいる段階ですが、まずは医学の学びに、大いに汗をかいて働いて頂きたいと願っています。しかしそこに留まることなく、ぜひ今後の医療や社会様式をイメージし、卒業後、そして10年後に必要になることは何かを考え、たくさん夢を見て、未来を切り開いていただくことを期待します。
昨日の自分を越える
人は主体的でありたいと願いながらも、一人では生きていけません。先輩や仲間、そして後輩と共に、常に協働的に切磋琢磨するため、ぜひ仲間をたくさん作って欲しいと願っています。もちろん人と生きることで、時に競争的な気持ちになってしまう日があるかもしれませんが、他人を見すぎると活動のスピードが落ちますし、過度な競争は心身をすり減らし、バイタリティを奪いかねません。そもそも人間は、常時向上し続ける必要はなく、人生を楽しく生きることが第一です。そのうえで、もしも成長したいと感じる時が巡ってきたら、比べるのは他人ではなく自分が良いかもしれません。昨日の自分と今日の自分を比べ、昨日の自分をちょっと越えることができたら、素晴らしいことだと思います。昨日の自分が夢にすら見なかった素晴らしい人生にたどり着く日を夢見て、昨日の自分をコツコツ越えてくれる事を、学生の皆さんには期待しています。
学位
平成11年3月 | 医学士 日本大学医学部医学科 |
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平成19年1月
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博士(医学)名古屋大学 |
平成21年1月
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修士(医療者教育学)マーストリヒト大学(オランダ) |
略歴
平成11年4月
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国立病院機構東京医療センター初期研修医 |
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平成13年4月
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同上 総合内科後期研修医 |
平成19年4月
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医療法人豊栄会 豊栄クリニック |
平成20年4月
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名古屋大学病院 総合診療科 助教 |
平成23年7月
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岐阜大学医学教育開発研究センター 助教 |
平成24年7月
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同上 併任講師 |
平成25年4月
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同上 准教授 |
令和3年6月 | 現職 |