VOICE~岐大医学部から~
退職教授からのメッセージ
医学系研究科 病態制御学講座
皮膚病態学分野
教授 清島 眞理子 先生
『VOICE-岐大医学部から-』第116回は、令和3年3月をもって退職された、医学系研究科 病態制御学講座 皮膚病態学分野 教授 清島 眞理子 先生にお話を伺いました。
教員生活を振り返って
1980年に岐阜大学医学部を卒業後、皮膚科に入局し、当時の森 俊二教授、後任の北島康雄教授から臨床に対する心構えと研究に対する厳しさをご指導いただきました。県立岐阜病院、ニューヨーク大学、大垣市民病院を経て2009年に岐阜大学皮膚科教授を拝命し、再び母校で診療・研究・教育に携わることができました。
岐阜大学皮膚科とその関連病院で41年間過ごしている間に皮膚科学は格段に進歩しました。難治性皮膚疾患である乾癬が治療によって症状が消失し長期にコントロールできるレベルになりました。それは世界の先人たちの研究の成果であります。さらに副作用の少ない有効な治療を開発したいと思って私も研究に関わってきました。支援していただいた教室の皆さんと岐阜大学に心から感謝申し上げます。今後もこれまで難治とされてきた疾患に対して新しい治療法が開発されることを期待しています。
教員として医学部生、大学院生、研修医および専攻医に"教える"際には自分の知識を高めて正確に"教える"ことにこだわってきたつもりです。まだ学説が割れている部分はなるべく両説を説明し詳しく解説するよう努めました。医学には不明な点が多く、既知に思える点も突き詰めると未解決の点が多いのです。病態が解明されて治療に結びついたケースもありますが、医学全体からみるとそれはほんの一握りで、医学は本当に奥が深いと感じています。
次世代へのメッセージ
現在はCOVID-19蔓延のために海外との交流が絶たれていますが、ぜひ世界に眼を向けてください。論文を日本語で書いてもたかだか数千、数万の人にしか読んでもらえません。英語で書いてその何千倍の人たちに向けて発信すべきです。語学の問題ではなく、グローバルなものの見方は日本国内に閉じこもっていては培われません。積極的に海外留学にチャレンジすることを勧めます。海外の学会に出かけ友人を作ることも有益だと思います。誠実な日本人は海外でも好意的に受け入れられます。自分の殻を破って羽ばたくことを願っています。
医学、そしてサイエンスは巨大なパズルですが、世界中の科学者が叡智を結集することで少しずつ埋まっていくと思っています。基礎医学であれ、社会医学であれ、臨床医学であれ、常にサイエンスの眼をもって立ち向かって欲しいと思います。一人に与えられた時間は限られていますが、地球上のすべての人に同等に時間は与えられます。常に時間を有効に使って自己学習を怠らず、最良の方策を考えるプロセスを忘れないこと、これが大切です。「神棚から牡丹餅」はラッキーな出来事です。しかしそれを受け取る皿が汚れていてはせっかくの牡丹餅も食べられません。常に皿を磨いて準備を怠らないことが大切です。
略歴
1980年 | 岐阜大学医学部 卒業 |
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同 附属病院皮膚科 入局 | |
1985年 | 県立岐阜病院皮膚科 |
1986年 | 岐阜大学医学部附属病院皮膚科 助手 |
1988年 | ニューヨーク大学皮膚科留学 |
1990年 | 岐阜大学医学部附属病院皮膚科 助手 |
1992年 | 岐阜大学医学部附属病院皮膚科 講師 |
1998年 | 大垣市民病院皮膚科 |
2009年 | 岐阜大学大学院医学系研究科皮膚病態学 教授 |
2021年3月 | 退職 |
学会役員等
日本アフェレシス学会 理事 | |
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日本皮膚病理組織学会 理事 | |
アジア乾癬学会 理事 |