ご挨拶

形成外科とは、身体に生じた組織の異常や変形、欠損、あるいは外見上の不満足に対して、機能のみならず形態的にもより正常に、より美しくすることによって、生活の質の向上に貢献する、外科系の専門領域です。

岐阜大学形成外科は、まだ歴史の浅い科です。私が2008年7月に岐阜大学耳鼻咽喉科講師に着任し、形成外科診療を開始したのが始まりです。2013年4月に岐阜大学医学部附属病院の診療科として独立し、私が診療科長・准教授となり、神山臨床講師が着任しました。その後2018年に安江医員が加わりました。

岐阜県の形成外科の現状は、2016年の厚生労働省の統計資料において、対人口十万人当たりの医師数で全国47都道府県の中でワースト3位です。また、日本専門医機構の算出した2018年の医師充足率でも全国ワースト4位です。形成外科は、医療法で定められた基本的な標榜診療科の一つですが、住んでいる県によって、受けられるサービスに大きな差が生じてしまっています。私たちはこの差を埋めるべく努力しています。最新の知見や治療法を取り入れ、世界標準の治療を行っています。

当科の手術では頭頸部癌や乳癌の切除後の再建が大きな比率を占めています。これら再建ができることで、切除範囲を広げ根治性を高めたり、切除によって失われた機能を再建したり、乳癌で乳房を失ったことで負った心の傷を乳房再建で癒したりと、癌治療に貢献しています。また、婦人科癌や乳癌の治療で発症したリンパ浮腫の外科的治療も導入し、癌の支持療法にも力を注いでいます。

その他にも、先天異常や顔面骨骨折を中心とした顔面外傷でも成果を上げ、産学連携で小耳症用彫刻刀の開発を成し遂げ、眼窩骨折に関する論文では、学会の優秀論文賞を受賞しました。

私たちは、岐阜県の形成外科診療によるサービスを他県と同等のレベル以上にアップする拠点となり、後進の育成にも取り組んでいます。当科で治療を受ける岐阜県の患者さんに満足いただけるよう日々精進しています



沿革

2008年
加藤久和医師が岐阜大学医学部附属病院に耳鼻咽喉科講師として赴任
岐阜大学耳鼻咽喉科内に形成外科診療班が発足
2012年
岐阜大学医学部附属病院の独立した診療科として、形成外科が発足
2021年
岐阜大学医学部に形成外科講座が新設
小川武則耳鼻咽喉科教授が教授を併任

加藤 久和 岐阜大学大学院医学研究科 
形成外科学
准教授  
加藤 久和