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共同研究講座「ファージバイオロジクス研究講座(2020.3~2026.2)」の研究成果について

東海国立大学機構岐阜大学とアステラス製薬株式会社は、2020年3月に共同研究講座「ファージバイオロジクス研究講座」を開設し、2026年2月までバクテリオファージ(以下、ファージと記す)を利用した細菌感染症治療法「ファージセラピー」の共同研究を実施した。本講座は当初3年間の計画で開始されたが、想定以上の研究進展と研究マイルストーンの達成に伴い、最終的に6年間の共同研究に至った。
ファージは標的細菌に特異的に感染し、細菌を溶菌しつつ増殖するウイルスである。この特性を利用した治療法がファージセラピーであり、抗菌薬とは異なる殺菌機序を有することから、難治性細菌感染症や公衆衛生上の脅威である薬剤耐性 (AMR: Antimicrobial Resistance) に対する新たな治療法として期待されている。

本講座では下記5つの菌種(疾患)に対するファージセラピー研究を実施した。

  1. 非結核性抗酸菌(非結核性抗酸菌症)
  2. 緑膿菌(緑膿菌感染症)
  3. 結核菌(結核菌症)
  4. フソバクテリウム属菌(大腸がんとの関連が示唆されている)
  5. ルミノコッカス属菌(クローン病や炎症性腸疾患との関連が示唆されている)

それぞれの研究において下記の内容を実施した。

  • 自然環境からのファージの単離
  • ファージゲノム解析およびクラスター解析の実施
  • 宿主域解析の実施
  • ファージ安定性試験の実施
  • ファージ改変技術の確立
  • 改変型ファージの創出
  • 動物感染モデルを用いたファージセラピー実験

本共同研究では6年間で約590株のファージを単離し、体系的なゲノム解析を実施した (抗酸菌・結核菌ファージ約150株、緑膿菌ファージ約400株、フソバクテリウムファージ約10株、ルミノコッカスファージ約30株) 。各標的菌種の臨床分離株パネルを用いて宿主域解析を行い、ゲノム情報、安定性試験の結果と合わせてリードファージを選抜した。

また、抗酸菌・結核菌ファージと緑膿菌ファージの改変技術の確立も同時に進めた。当初、これらのファージの改変には困難が伴ったが、既に岐阜大学で確立していた「合成改変法」を応用することで改変が可能になった。実際に機能性を向上もしくは付加した改変型ファージを創出した。

ファージの薬効を検証するために動物感染モデルを確立し、野生型および改変型ファージを混合したファージカクテルを調製し、ファージセラピー実験を実施した。その結果、一部のファージカクテルでは、顕著な治療効果が認められた。

本共同研究成果の一部は、20252月に設立された株式会社Arrowsmith20261月に岐阜大学発ベンチャーとして認定)に導出し、臨床開発に向けた研究を進めている。また、その他一部の成果については論文として公表する予定である。

本共同研究講座は当初設定していた研究目的を達成し、期間満了により閉設した。



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