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研修医手記

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中部国際医療センター 研修医1年目 辰己 佳輝 (part43)

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「医療チームの一員として」

 岐阜大学医学部を卒業し、現在は中部国際医療センターで初期研修医として勤務しています。医師としての生活が始まって半年あまりが過ぎましたが、日々の診療の中で、学生の頃には想像もしなかったような学びと責任を感じながら過ごしています。

 医師として働くようになってまず強く感じたのは、「自分が医療チームの一員として責任を持って患者さんに関わっている」という実感です。学生時代の実習では、診療チームの一角に加わってはいても、どうしても受け身の姿勢になってしまっていました。自分が決断する立場ではなく、指導医や先輩の動きを見守ることが多かったため、診療の中での緊張感や判断の重みを十分に理解できていなかったのだと思います。いま、自分の名前で指示を出し、説明をし、治療方針に関わるようになって、初めてその責任の重さを肌で感じています。

 当初は緊張と不安の連続でした。初めて救急外来を担当した日、患者さんが次々と運ばれてくる中で、症状を聞き取り、必要な検査を選び、上級医に報告しながら治療方針を立てる。その一つひとつの判断に迷い、時間に追われ、何度も反省しました。しかし同時に、学生時代に必死で身につけた知識が、実際の現場で確かに役に立つという手応えも感じました。疾患の鑑別を考えるとき、検査データの意味を読み取るとき、過去の勉強が自分の中で「生きた知識」に変わる瞬間は、何より嬉しいものでした。救急の現場で得られる緊張感と達成感の両方に、自分が医師として歩み始めたことを強く実感しています。

 一方で、学生時代を振り返ると、もっと主体的に学べたのではないかという後悔もあります。実習では、忙しい現場の中で「見学させていただく」という立場に甘えてしまい、深く質問したり、自分なりに考えたりする姿勢が足りなかったように思います。実際に自分が診療を担うようになって初めて、当時の学びの機会がどれほど貴重だったかを痛感しています。今の学生たちには、指導医の方々が忙しい中でも丁寧に説明してくださること、患者さんが学生の自分にも話をしてくださること、などを大切にしてほしいと思います。

 診療科の選択については、正直なところまだ悩んでいます。外科の手技や判断力、スピード感には強く惹かれますし、その専門性の高さに心を動かされます。一方で、内科の診療では、一つの症状から病態を丁寧に紐解いていく奥深さに魅力を感じています。検査結果や画像、身体所見を組み合わせ、患者さん全体を見ながら診断を導く過程には、知的な面白さと同時に、人間としての洞察が求められます。どちらの分野も奥が深く、まだ自分の中で答えは出ていませんが、自分に合った道を選ぼうと思います。

 日々の診療の中では、知識や技術だけでなく、患者さんとの対話の大切さを改めて感じます。救急外来では、重症の患者さんだけでなく、比較的軽症の方を診ることもあります。そうした場面では、疾患そのものの治療以上に、患者さんの不安を和らげ、安心して帰っていただくことが非常に重要だと感じるようになりました。限られた時間の中でも、症状の背景にある不安や生活の事情に目を向け、言葉を尽くして説明することで、患者さんの表情が少し和らぐ瞬間があります。そうした経験を通して、医療とは病気を診るだけでなく、人を診るものだと改めて思いました。

 中部国際医療センターは、地域に根ざしながらも多くの専門医が在籍し、高度な医療を提供できる体制が整っています。そのような環境の中で、地域医療の現場でも専門的な知識や技術が生かされ、患者さんが住み慣れた地域で質の高い医療を受けられることの意義を感じます。地域医療と専門医療が両立する現場で働くことで、医療の幅広さと奥深さを改めて実感しています。今後も、自分の専門性を磨きながら、地域の医療に貢献できる医師を目指していきたいと思います。

 これからの研修生活の中で、多くの症例や人と出会いながら、自分の専門性と人間性の両方を磨いていきたいと思います。将来は、どのような場においても患者さんに安心を届けられる医師を目指し、地域に根ざしながら確かな医療を実践していきます。


令和8年1月5日


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