ホーム > 会員広場 > 研修医手記 > 岐阜市民病院 研修医1年目 江﨑 菜生(part37)

研修医手記

掲示分の内容に関する問い合わせは、掲示者本人に直接連絡してください。

岐阜市民病院 研修医1年目 江﨑 菜生(part37)

kensyuui-37.jpg研修医となり、新型コロナウイルス流行の中、社会全体が今までと異なる状況であっという間に半年が過ぎたように感じます。各科のローテーションや救急外来の業務についていくのに精一杯の毎日でしたが、研修医手記を書く機会をいただき、これまでを振り返り、また今後について考えてみたいと思います。

 4月、研修医になることの責任と、新たな経験への期待を胸に、岐阜市民病院での研修医生活が始まりました。1週間のオリエンテーションが終わると、すぐに当直の見学と各科のローテーションが始まりました。そして、4月下旬から救急外来での業務が始まりました。

 大学での学びとは異なり、実際の現場では自分で必要な情報を集めにいき、評価して治療方針を考える必要があります。問診で聞くべきことや必要な身体診察は何か、行うべき検査は、データや画像の評価は、上級医へのコンサルトは、患者さんやその家族への説明は、処方は、他院への紹介状の書き方は・・・。初めはわからないことばかりで何をするにも2年目の研修医の先生に頼っていました。そんな私たちの相談に乗りながらも、次々と救急外来の患者さんの対応をする2年目の先生の姿には尊敬するばかりです。2年目の先生から「一度経験した症例と同じような症例にあたった時、次は自分でできるようすればいいよ。」とアドバイスをいただき、それを意識することで少しずつ対応できる場面が増えてきました。それでも患者さんの訴えは多種多様であり、検査をどこまでするのか悩む場面は多く、また自分のアセスメントに対する不安などを抱えながら日々の救急外来業務に当たっています。救急外来が特に忙しい日は余裕がなくなってしまうこともあります。ですが多くの患者さんを診ることで経験が自信につながり、それは自分にとってプラスなことだと考えます。忙しいこともポジティブにとらえ、少しでも多くの症例を経験して早く先輩方に近づきたいと思います。

 新型コロナウイルスの影響は救急外来の業務にも関わってきました。救急外来には多くの患者さんが発熱を主訴に受診されますが、その場合、新型コロナウイルス感染である可能性を考慮し、他の患者さんとは別で診察します。私たちが救急外来の業務を始めたばかりのころは、発熱の患者さんはまず屋外の発熱エリアで診察していました。自分一人で発熱エリアに行き診察することや、2年目の先生が発熱エリアで対応されている間に救急搬送された患者さんを自分一人で対応することへの不安や混乱があったことを思い出します。また、新型コロナウイルス感染が心配で受診される患者さんは非常に多く、検査の適応でないと判断した場合に患者さんに理解していただけるよう説明することの難しさを実感しました。

 今後、インフルエンザ流行期に入ります。新型コロナウイルスの動向がどのような状況になるかはわかりませんが、一層気を引き締めて業務に当たりたいと思います。

 救急の場で重要だと感じていることは患者さんへの説明です。例えば帰宅可能であることを説明する際に、本当に大丈夫なのか心配される患者さんやそのご家族が多くいらっしゃいます。小児科当直で上級医の先生と患者さんのご家族に説明に行ったとき、こういう症状がでたらすぐに受診してください、こういうもので水分と塩分をとってください、など具体的に、ご家族の理解度に合わせて丁寧に説明されていました。ご家族はそれまで不安そうでしたが説明を聞いて安心した様子で帰られました。同じ内容のことを伝えるにしても言い回しを工夫するとこで、患者さんの安心感や満足度が違ってくることを実感しました。それからは上級医の先生方の様々な説明のポイントを取り入れて、患者さんに合った説明ができるように意識しています。

 救急外来での業務が終わると、自分が診察した患者さんのカルテを見ながら、この検査もしたほうが良かったかな、この対応でよかったのかな、など反省することが多いです。ローテーション中の科の先生に救急外来での症例について質問したり、先輩にどのように対応されているか伺ったりして、少しずつですが経験を次に生かせるようにしています。また、週1回、研修医が集まり、救急外来で経験した症例を共有するカンファレンスを行っています。先輩や同期の症例発表を通して自分が経験していない症例について学ぶことができるため、有意義な勉強の場になっていると感じます。

 研修医になって実感したことは周りのスタッフの方々にとても助けられているということです。特にお世話になっているのは救急外来の看護師さんです。看護師さんたちは多忙な業務のなか、さりげなく私たちをサポートしてくださって、いつも患者さんに笑顔で対応されていて尊敬するばかりです。診療放射線技師さんには救急の画像検査でいつもお世話になっていますが、他にも研修医にむけて救急の診察で必要となるエコーのレクチャーをしていただいたり、また、薬剤師さんには薬剤アレルギーのある患者さんや透析患者さんの処方に迷ったときなどに相談に乗っていただいたり、周りの多くの方々に支えられています。

 このように上級医の先生方や周りのスタッフの方々の支えがあり、なんとか救急外来の業務をしてこられたと思います。今後も周りの方々への感謝の気持ちを忘れず、自分も周りの方々から頼っていただけるように成長したいと思っています。

 各科のローテーションでは外来や検査についたり、手術に入ったり、病棟業務を行ったりします。病棟業務では上級医の先生と一緒に入院から退院まで受け持ちます。検査や点滴、処方、食事やリハビリ、他科へのコンサルテーション、退院調整など多くの業務があります。今はわからないことをひとつひとつ上級医に相談しながら経験を積んでいます。数人受け持つだけでも大変ですが、上級医の先生方は外来や検査など他の業務を行いながらも十何人もの患者さんの入院管理をされています。3年目以降は自分も主治医として診療に当たることになります。その時に上級医の先生と同じようにこなしていけるのか不安に感じますが、今、研修医として各科で勉強できるチャンスを生かして、緊張感を持って学んでいきたいと思います。

 初期研修の四分の一が終わった今、自分は研修医として何ができるようになったか、ちゃんと成長できているのか不安になることがあります。同じ病院の同期の姿を見たり、他の病院の研修医の話を聞いたりして、自分ができていないことに焦ることもあります。さらに、半年後には後輩が入ってきて救急外来では教える立場にもなります。また、来年の今頃には、2年目の先生方のように自分も進路を決めなければ、と思うと不安なことばかりです。それでも、まずは目の前の課題に対してしっかりと向き合い、ひとつひとつ経験を積んでいきたいです。

 最後になりましたが、日頃よりご指導いただいている先生方、看護師さんはじめお世話になっている皆様に改めて感謝し、研修医手記とさせていただきます。

令和3年1月1日


ページの
先頭へ戻る