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岐阜大学医学部に入学して

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岐阜大学医学部医学科1年 奥村 駿介

初めに

 はじめまして。今年度より岐阜大学医学部医学科に入学しました奥村駿介と申します。浪人を経て、第1志望であった岐阜大学へ入学できたことを大変うれしく思うとともに、新しい仲間と新鮮な大学生活を満喫しております。この度は「岐阜大学医学部記念館だより」に新入生代表として文章を寄稿する機会を頂いたので、拙い文章ではあると思いますが入学に際して私の思いを綴らせていただきます。

 

入学に至るまで

 高校時代の私は部活に全てを注いでいたと言っても過言ではありませんでした。高校3年生の夏に部活動を引退し、ようやく受験勉強と向き合いました。当時の私にはこれといって将来の目標があったわけではありませんでしたが、岐阜出身の私がただ1つ考えていたことは「将来も岐阜に残って、岐阜で働きたい」ということでした。そんなとき偶然新聞で岐阜の地域医療に関する記事を目にしました。その記事には、岐阜県ではドクターヘリやドクターカーを活用し、岐阜県全域の命を救う試みが他県に先駆けて運用されている、と書かれていました。当時の私の医療に対するイメージは、特殊な学びを受けたプロが治療を施す、というもので特別医学に関心のなかった私は人の命を救えるかは個々の能力にかかっているのだろうと考えていました。しかしその記事を読み、今まで救えなかった命を救うべく、医師の技術以外の部分にも気を巡らし、団体戦のような一面も持つ医療に大変興味を持ち、人の命を懸命に救うことのかっこよさに惹かれました。その上、もし自分がこの試みに関わることができたら、岐阜で働きながら岐阜に貢献できると考えました。これが私が岐阜大学医学部を志望したきっかけであり、医師になりたいと思ったきっかけです。また余談ではありますが、私の両親が岐阜大学の卒業生ということもわずかな影響ながら本学を志望した理由の1つです。

岐阜大学を志望した理由

 岐阜大学で他の大学に先駆けて行っている、学生が自ら症例について議論するチュートリアルシステムや医師育成システムであるクリニカルクラークシップなど参加型教育体系に魅力を感じたからです。また救急救命センターの設備が充実しており最先端の救命医療を学べることも理由の1つです。これらの最高の環境下で学べることに感謝し、日々精進していきたいと思います。

大学生活

 1年生である私は月、火、水曜日は他学部の学生とともに全学共通科目の授業に出席し、木、金曜日は医学部棟に場所を移し専門科目を医学部の学生と受講しています。全学の授業は自分が興味を持った授業を選択できるという点で高校とは異なった学習体系になっており、とても有意義な時間を過ごしているなと感じます。医学以外のことを学ぶ機会もこの先少ないと思うので、積極的な姿勢で幅広く学びたいです。全学部の1年生が受講するだけあり、人数の多さに圧倒されることもありますが、各授業を全く違うメンバーで受講するため、他学部の生徒との交流も広がる良い機会だと思っています。実際前期は体育の授業をはじめ、何人かの他学部の学生と仲良くなることができよかったです。
 前期の専門科目には医学概論、細胞生物学、基礎生理学がありました。それぞれ内容に違いがあり、多方向から医学の基礎を感じ、学ぶことができました。試験勉強は高校とは比べ物にならないほど大変でしたが、学びを深めるうちに人間である自分のことを知れる気がして、勉強がちょっとだけ楽しくなったことを覚えています。テスト前にチュートリアル教室で同級生たちと共に、教えあいながら勉強を進めることもまた有意義な時間です。人に説明することで自分の知識を確認することができたりしてとても勉強がはかどります。また前期には講義の他に初期体験実習がありました。私の班は長良医療センターや聾学校、盲学校そして聖十字病院など8施設に実習に行かせていただきました。どの施設で出会う人も日常生活では関わったことのない人達ばかりでコミュニケーションをとることに苦労しました。長良医療センターでは障がいを持った子供と交流する機会がありました。子供達は体は上手く動かせないけれども、専用の機器などを使い意思表示をしてコミュニケーションを取ろうとしてくれました。その姿に自分の無力さを思い知らせるような何か心にグッとくる、今までに感じたことのないものを感じました。ただそれを感じるようになったのは、私に医学部生としての自覚が生まれつつある証拠ではないかと思うこともあり、改めて初期体験実習はとても貴重で大切な経験であったなと感じます。
 後期に入り、今は生命科学実習の講義と地域体験実習を行っています。講義で学ぶ組織学では始まって間もないということもあり、顕微鏡でみる世界に驚嘆しているばかりで、もっと勉強に励まなければと思う限りです。地域体験実習では毎週、1歳6ヶ月の赤ちゃんとそのお母さんと交流しています。妊娠、出産というライフサイクルの一大イベントを経験した母子から学ぶことは多く、医学生としてだけではなく一若者として貴重なお話に耳を傾けています。また自分が知りたいと思ったことをどう質問すれば聞き出すことができるのか考えながら会話を進める場面もあり、コミュニケーションの勉強にもなっています。この後には保育園実習が控えており、幼児との交流に不安もありますが積極的な姿勢で少しでもお互いの距離を縮めることが出来たら良いなと思います。
 授業以外に私の日常を構成する要素として部活動と趣味が思い浮かびます。部活動については後ほど詳しくお話しさせて頂きたいので、趣味について少し書きたいと思います。私の趣味は旅行に行くことで、1年生の夏休みはおよそ2ヶ月と長いため、私は趣味に多くの時間を費やすことが出来ました。具体的には日本国内をめぐることが好きで、この夏で一番思い出に残っている旅先は福井県の東尋坊です。そこで見た日本海は、穏やかな太平洋とは全く異なり、波が驚くほど高く、白波という表現がまさに現実のものでした。同じ海なのに日本列島を挟むだけでこれほど表情が違うことが大変面白いなと感じ、日本各地で自然が見せる表情をこの目で確かめに行きたいという思いがさらに膨らみました。その資金獲得のために、勉学に支障をきたさない程度にアルバイトも頑張りたいと思いました。

部活動

 大学の医学部ではどのくらい部活動が活発に行われているのか、どのくらいのレベルなのか、分からないことだらけだったのを覚えています。私は小学生の頃から続けていた野球を大学でも続けたいという思いと、大学入学を機に新しいスポーツに挑戦してみたいという思いが混ざったまま新歓を迎えました。先輩方による新歓は想像をはるかに上回るもので、記念会館前でのビラ配りでは先輩方の熱意に圧倒され、また部活の体験に行くと、どの部活でも先輩方が親切に対応してくださり、ますます迷いが加速するばかりでした。最終的には続けられるところまで野球をやろうという気持ちが勝り準硬式野球部の一員となりましたが、新歓では様々な部活の雰囲気を知ることができることに加え、それぞれの部活の先輩と親しくなることができとてもよかったです。
 準硬式野球部はプレーヤー21人マネージャー8人のメンバーで、週3回の練習と週末には試合をこなしています。この部活は雰囲気がとてもよく、真剣に練習に取り組みながらもとても楽しく野球ができる環境です。私が初めて試合に出場したときには、自分の活躍をチームメイト皆が自分のことのように喜んでくださり、野球部に入ってよかったと思いました。私が野球部に入部して感じたことの1つに、縦の繋がりがとても密で先輩方との関わりが深いということがあります。試験対策をはじめ学校のことや、ときには恋愛相談にまでのってくださるなど、日々頼りにさせていただいています。野球においてもとても良い影響を受けており、8月に行われる西医体が近づくにつれ一生懸命に練習に取り組む先輩方の姿をみて、私も自然と野球に対する意識が高まり、チーム全体の士気も上がりました。残念ながら2回戦で敗退してしまい6年生と4年生(看護学科)の引退が決まったとき、もうこのメンバーで野球をやることが出来ないと思うと自然と涙が流れました。今は、来夏も同じ思いをするまいと自分を奮い立たせ、野球に励んでいます。
 今年は自分を含めて6人のプレーヤーと2人のマネージャーが入部しました。計8人の入部は例年に比べ多く、騒がしい一面もありますが和気藹々とした雰囲気で楽しく、いつも笑い声が絶えない学年です。先日は初めて部活同期で旅行に行き、さらに仲が深まってよかったです。普段の学校生活でも他の7人に助けられることも多く、このまま誰も欠けることなく引退を迎えられたらいいなと思います。

終わりに

 入学して6ヶ月ほどが経過しました。入学前は医学部とは言っても1年生のうちから医者の世界を身近に感じることは少ないのではないかなと思っていました。それ故、実習先などで1年生である私と、まるで医者と話すかのようにコミュニケーションを取る方が多くとても驚きました。周りの方から見れば自分は医者の卵なのだとその時初めて気づきました。医学部に入り、医師への扉を開いたという認識が足りなかったなと思うとともに、これからの学びの中で医者として社会に出る覚悟のようなものも身につけていかねばと思います。幸い岐阜大学医学部は縦のつながりがとても強いため、学びを重ねた先輩方の姿を近くに感じられ、気づかされることは多く、まだ未熟な自分には良い刺激になっています。学年を超えて関わりが深いことが岐阜大学医学部の良い伝統であり、入学でき本当によかったとつくづく思いました。またこれからもこの伝統を受け継ぐべく、学年を重ねるごとに医師への階段を少しずつ登って行きたいと思います。
 今回は記念館だより寄稿するという貴重な機会をいただけたことで、今までの自分を振り返り、そしてこれからの自分について考える良い機会になりました。最後までお読みいただきありがとうございました。

令和2年1月1日

掲示者

岐阜大学医学部同窓会事務局

岐阜市柳戸1番1
電話 058-230-6091
FAX 058-230-6092


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