ホーム > 会員広場 > 岐阜大学医学部に入学して > 岐阜大学医学部医学科1年 岩田 航弥

岐阜大学医学部に入学して

掲示分の内容に関する問い合わせは、掲示者本人に直接連絡してください。

岐阜大学医学部医学科1年 岩田 航弥

初めに

 はじめまして。今年度より岐阜大学医学部医学科に入学しました岩田航弥と申します。この度「岐阜大学医学部記念館だより」に新入生代表として、文章を寄稿する機会をいただきました。今年は、例年とは大きく異なる大学生活を経験することとなりました。拙い文章ではあると思いますが、そんな中での新入生としての医学部生活に対する思いや考えを綴らせていただきます。

 

大学入試

 私は一般推薦入試での入学生です。大学入試の結果発表から入学までの2 か月ほどの間、心を躍らせながら大学生活を待ちわびていました。しかし、大学生活は思い描いていたものとは違う様子となりました。新型コロナウイルスの影響を受け、入学式や入学に際してのガイダンスなどはすべて中止となりました。そのため、買ったばかりのスーツも着られず残念な気持ちを抱え、大学生活がスタートを迎えました。授業の開始は5月頃になり、形態も大きく変化しました。インターネットを介しての授業は講師、学生ともに不慣れな部分が多く、戸惑いと不安が大きい中での学習となりました。このように、大学入学をしてすぐに前例のない事態を多く経験することとなりました。

学習について

 学生生活の本分である学習ですが、様々な課題と向き合いながら勉学に励む必要がありました。私には高校時代にオンラインでの授業の経験はありませんでした。したがって、画面を見ながら学習をするという環境になかなか慣れることができず、集中が続かないことが多くありました。また、数多くのサイトやページを行き来しなければ、授業日程の確認や課題の情報確認、提出をすることができないため、非常に混乱し戸惑いました。これは学生側だけの問題ではなく、学習を支えてくださる講師の先生方にとっても大きな変化だったように思われます。実際にデータの送受信がうまくいかない、連絡がうまく伝わらない等の問題がいくつか発生しました。私が特に苦しく感じたのは、先生方に対して質問が気軽にできないことでした。不明な点や疑問は必ずメールで文章としてしか伝えることができないため、学習内容に関する質問をしたくなっても先生方と会話をすることができず、学習に大きな支障をきたしました。しかし、オンライン授業に慣れてくると一概に悪いことばかりではないということにも気づきました。例えば、授業内容の見返しが可能であること、学習がより計画的に進むことなどです。コロナウイルス流行前まで反対意見の多かったように思われるオンライン授業がここまで早く浸透したのは、このような利点があったからではないかと感じています。 6 月の中頃からは一部で対面授業が可能になりました。始まった対面授業も座席が間隔をあけて管理されており、グループ活動は禁止という制約の多いものでした。しかし、オンライン形式では行いにくかった授業はとてもスムーズに進むようになりました。先生方も私たちの表情をみながら授業を進めてくださるため、講師と学生がお互いにやりやすさを感じていたように思います。しかし、実習や校外学習など、感染対策を万全にしても実施できない授業などもあり、元通りの学習とはなりませんでした。
 またコロナ渦での学習は、主に自習です。私にとってはこれもとても苦しいことでした。外に出ることができない状況であったため自宅にこもって、大学レベルの高度な内容を扱う学習は想像以上に過酷であり、強いストレスを抱える日もありました。そのような観点からも対面授業の再開によって外に出る機会ができたことは喜ばしいことでした。さらに、部活動がないため先輩方から学習に関する有益な情報をいただくことができませんでした。そのため学習法から学習範囲まで自分で試行錯誤して挑むしかありませんでした。
 その一方で学習内容に目を向けると、今年しかできない特別な学びができたのではないかと思います。ウイルスの性質や、その治療法について深く考える機会が授業の中で与えられました。社会の状況の影響を受け、普段以上に興味を持って学習し、それをもとに多角的かつ深みのある思考ができました。そして、社会で話題となっているウイルスやワクチンに関する情報に目を向け、その真意を確かめたり自分なりの意見を持ったりするようになりました。このように多くの困難を抱えながらも、今では慣れ親しんだ形式と新しい形式の混在する学習に前向きに励んでいます。

交友関係について

 大学生活において友人の存在は非常に大きなものではないかと思います。しかしこれもまた、コロナウイルスの影響を大きく受けました。入学後、ガイダンスなどがすべて中止となったために学内に知り合いが全くいないまま大学が始まりました。入学に際して必要な手続きはすべて自分だけで行い、不安な内容を確認しあうといったことも全くできませんでした。オンライン授業が始まると、初めて画面越しに同期生に会うことができました。初対面がテレビ通話を介してのコミュニケーションであるため難しさもありましたが、6年間を共に過ごす友人との出会いに嬉しくなりました。対面授業が始まって、学食を共に利用するなど友人とともに過ごす時間が増えてからは、やっと会話をしているという実感が 芽生え、交友関係が深まっていきました。このように、オンラインで初対面の方と関わるという場合においても、その後関係を深めていくことが可能だということを体当たりながらも知ることができました。今後、このような形の人間関係が増えていくことが予想されるため、長い目で見れば大学でのこうした経験は大きな財産になるのではないかと感じています。

そのほか大学生活について

 私は下宿生として岐阜で暮らしています。新型コロナウイルスは下宿生活にも大きな変化をもたらしたように思います。自宅で生活しているときとは異なり、自分の体調を自分で管理しなければなりませんでした。そのため、食生活や睡眠時間の管理がより一層重要になりました。また、アルバイトの機会もなくなったため、財政の管理なども厳しいものとなり苦しい経験をしました。将来、医師として社会に出た後も、自分の生活や健康に関する管理は自分自身で行わなければなりません。時間や余裕がない中でも日常生活に意識を向けるという経験をするこ とができました。

おわりに

 新型コロナウイルスは大学生活の様々な場面に影響を及ぼしています。このようなウイルスとともに生活をするという経験は医学生として非常に価値のあるものだと考えています。社会的に健康への意識が大きく変化し、それに伴って私たちの日常も異なる様子となりました。こうしたウイルスと闘いながらの生活は、医療従事者の活躍なしには語れません。そうした状況を目の当たりにして、これから私が足を踏み入れる分野がいかに重要であるかを理解することができました。そして私も将来、社会に貢献できるだけの知識と技術、そして責任を持たなければならないと強く感じ、医学部での学びに大きな意味を感じています。今までとの生活との違いから残念な思いをすることもありますが、特殊な状況だからこそ得られる学びや気づきに目を向け大切にしていけたらと思います。
 今回、記念会館だよりへの寄稿という機会をいただけたことで新型コロナウイルスの恐ろしさと影響力の大きさを再確認するとともに、それに伴う医学生としての意識を言葉にすることができました。最後までお読みいただきありがとうございました。

令和3年1月1日

掲示者

岐阜大学医学部同窓会事務局

岐阜市柳戸1番1
電話 058-230-6091
FAX 058-230-6092


ページの
先頭へ戻る