医療関係者へ

ごあいさつ

岐阜大学医学部泌尿器科・腎移植外科 教授 古家琢也

岐阜大学医学部泌尿器科・腎移植外科の,古家琢也(こいえたくや)です.
当講座ホームページにお越しくださいまして,ありがとうございます.これから,当科についてご紹介させていただきます.
みなさんがご承知の通り,日本は超高齢化社会を迎えています.人口は減少していきますが,高齢者率はこれからも高い水準を維持していきます.そのため,おしっこの悩みを抱える患者は増えていきますし,もちろんがんにかかる患者さんも増加することが予想されます.また,糖尿病にかかる患者さんも増加していることから,不運にも透析を行わなければならない患者さんも年々増加しています.
超々高齢化社会ともいえる現代社会において,泌尿器科の果たす役割は,今後益々大きくなっていきます.そこで,岐阜大学の特色についてこれからお話させていただきます.

1.診療

岐阜大学泌尿器科は,「すべては患者のために」という理念のもと,診療を行っています.体に負担の少ない治療を提供することはもちろんですが,病気を治すにはどの治療が最適か,そのためには何をするべきなのかを常に考え,診療にあたっております.

  1. がん治療
    体に負担の少ない手術として,低侵襲手術(腹腔鏡手術,ロボット手術)があります.岐阜大学は,早くから腹腔鏡手術に取り組んできたこともあり,大学のみならず県内に数多くの技術認定医を有しています.当科では年間100例以上の症例に対し腹腔鏡手術を行っております.また,2017年よりロボット手術も開始いたしました.私が赴任したことにより,前立腺のみならず膀胱,腎臓についても,保険診療でロボット手術が行えるようになりました.私はこれまで300例以上の症例で手術および指導(国内他施設も含めて)を行ってきており,短時間でしかも質の高いロボット手術を提供できるものと自負しています.特にロボット膀胱手術に関しては,国内で行われている施設は限られていますが,岐阜大学はその中の一つです,また尿路変向(おしっこの出し方をかえる手術)に関しても,ロボット手術で施行できる技術を有しております.現在はロボット手術の次世代を担う人材育成を行っていますが,手術の質を落とさないよう心掛けながら指導を行っております. 一方,手術だけでは直しきれない癌があることも事実です.そこで,当科では手術前に治療を行うことで,癌を抑え込んでから手術を行う方法を推奨しています.あくまで手術がメインですので,前の治療で体力を落としてしまうようでは元も子もありません.そこで,術前治療についても負担の少ない治療でより効果が期待できる治療の開発に取り組んでおります.低侵襲な術前治療と,低侵襲な手術療法を組み合わせる事で,癌をきちんと直せるような治療を提供してまいります.
  2. 腎移植
    透析を行う患者は年々増加しており,その数は30万人をこえております.その治療の一つとして,腎移植があります.岐阜大学では,年間20例を超える患者に腎移植を行っております.また,腎の生着率も高い水準を維持しており,5年の腎生着率は97%を超えております.移植腎を採取する際にも腹腔鏡手術で行っており,ドナーにより低侵襲な手術を提供できます.腎移植をお考えの患者さんは,当科にご相談くだされば幸いです.

2.教育

  1. 医学教育
    医学的な基礎的知識を習得させることはもちろん重要ですが,礼儀を大事にし,心豊かで人間味のある医師になれるよう,医学教育を行っていくことが重要と考えています.目の前の患者に真摯に向き合い,どんな治療が最適なのか,そのためには何をするべきなのか,などを考えられるような学生教育を行っていきたいと考えております.
  2. 卒後教育
    これからの医療を支える若い先生方の教育は,非常に重要です.手術手技のみならず,なぜなんだろう,どうしてなんだろうといった,リサーチマインドを育むことも重要と考えています.また研究や論文作成を行うことで,物事を整理し体系的に考える力を養うことができます.それと共に,若いうちから手術を含む様々な手技を積極的に行っていただくことで,臨床・研究も遂行できる,バランスの取れた泌尿器科医の育成を行っていきたいと考えています.
  3. 女性医師の育成
    当科では,女性医師の存在はとても重要であると認識しています.特におしっこの悩みを持つ,あるいはがんを患っている女性患者にとっては,女性医師の診察を受けることにより安心して治療を受けることができます.一方で,結婚後は出産・育児により仕事を休まざるを得ない時期があるかもしれません.子育てがある程度落ち着いて現場復帰しようと思っても,科によっては難しいこともあるようです.しかし,子育てが落ち着いた女性医師こそが活躍できる場を提供することが,医局の重要な役割であると考えてます.そのため,多くの女性医師の入局を望んでおります.泌尿器科に興味のある学生がいましたら,是非話を聞きに来てください.