当教室の研究について

特発性小脳失調症(とくはつせいしょうのうしっちょうしょう)を対象とした多施設医師主導臨床試験のご紹介

(特発性小脳失調症に対する免疫療法の有効性および安全性を検証するランダム化並行群間試験)

2021年1月から、岐阜大学では脊髄小脳変性症のうち、特発性小脳失調症(これまでの皮質性小脳萎縮症)の方を対象に臨床試験(試験)を実施します.試験の内容は、特発性小脳失調症による体のふらつきやしゃべりにくさなどの症状(右の図)に対して、効果があるかどうかを調べるために、試験薬を点滴し、効果を観察するものです。この試験は、臨床研究法で定められる、特定臨床研究に該当し、すでに認定臨床研究審査で審査され、Japan Registry of Clinical Trials(jRCT)に公表されています(臨床研究計画実施番号 jRCTs031200250)。

特発性小脳失調症とは

特発性小脳失調症とは、小脳失調症(小脳の働きが悪くなる)によって、体のふらつきや、しゃべりにくさなどが出現する疾患であり、はっきりと原因のまだわからないものを指します.この疾患は、以前は皮質小脳萎縮症という病名でも呼ばれていました.このように診断される患者さんの一部に、小脳にダメージを与えるような異常な免疫反応(抗体)が出現していることがわかってきました(左の図)。

特発性小脳失調症患者の血液中から、健常者には認められない異常な抗体を検出した(上段:健常者、下段:患者)。

試験薬と試験の方法について

今回の試験では、特発性小脳失調症(これまでの皮質性小脳萎縮症)患者さんにおいて、まず抗体の有無を調べます.試験は血液中に抗体をもっている患者さんが対象になります.試験薬を点滴し、効果(症状の改善)と安全性(副作用など)について調べます。使用する薬剤の一般名は、メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムという薬剤です.本薬剤を1日に1g点滴して、3日間続けるという治療法を一般的に、“ステロイドパルス療法”と呼びます。本試験では、2回のステロイドパルス療法を行います。

受付期間と当院受け入れ予定人数

受付予定期間は2021年1月から2023年11月までを予定しております。試験の進行状況によっては変更される場合があります。なお、試験の詳細につきましては、試験担当医師が説明いたします。本試験は、信州大学医学部附属病院 脳神経内科・リウマチ膠原病内科との共同研究であり、当院受け入れ予定は12人としています.参加いただいた患者さんは、先に治療をするグループか、4週間経過観察した後に治療するグループに振り分けさせていただきます(上の図)。どちらのグループでも、ステロイドパルス療法による治療を行いますが、どちらのグループになるかは患者さん自身では選ぶことはできません。

主な参加基準

<参加できる方> 以下のすべてに当てはまる方が参加できます

  1. 30歳以上で発症した方

  2. 緩徐な経過の方

  3. 家系内に同じ症状のいない方

  4. 自己免疫性以外の原因については、否定されている方

  5. 自力歩行あるいは杖歩行が可能な方

  6. 症状の程度が、SARA scoreで5点以上の方
    (SARA scoreは小脳失調症の程度の指標で、医師の診察により決定します)

  7. 血液中の自己抗体が陽性の方(登録をいただいた後に、血液検査を行います。その 血液の一部を使って岐阜大学で抗体を測定し、陽性だった方が対象となります)

*最終的に、研究責任医師により試験に参加することが適切と判断された患者さんが対象となります。

<参加できない方> 以下のどれか1つでも当てはまる方は参加できません

  1. 現在すでに、他の研究に参加している方

  2. 明らかな原因が他にある方(遺伝性など)

  3. 現在妊娠している、またはこの試験中に妊娠する可能性のある方

  4. 現在、ステロイドや免疫抑制剤を内服している方

  5. コントロールの悪い糖尿病、高度の肝機能障害、腎機能障害のある方

  6. 中止のできない抗血小板薬や抗凝固薬を内服している方

  7. 高度の認知症のある方

*上記の基準に該当しない場合でも、研究責任者が不適切と判断する場合があります。

この他にもいくつかの基準があります。参加できるかどうかは検査や診察の結果により医師が判断します。詳しくは担当医師におたずねください。

試験実施医療機関

この試験は、主に岐阜大学医学部附属病院と信州大学医学部附属病院で実施いたします。

岐阜大学医学部附属病院研究代表者

岐阜大学医学部附属病院 脳神経内科 臨床講師 吉倉 延亮

受付時間 平日午前9時~午後4時
外来電話番号 058-230-6000(大代表)
研究実施体制
岐阜大学医学部附属病院 脳神経内科
下畑 享良 教授
木村 暁夫 准教授
吉倉 延亮 臨床講師
信州大学医学部附属病院 脳神経内科・リウマチ膠原病内科
中村 勝哉 講師
本試験にご関心のある場合
本試験に関心がある、または、本試験への参加をご希望される場合は、本情報をもとにかかりつけ医に相談され、岐阜大学医学部附属病院脳神経内科または信州大学医学部附属病院 脳神経内科・リウマチ膠原病内科に紹介状をもって予約の上、受診してください。