多系統萎縮症(たけいとういしゅくしょう)(MSA)を対象とした臨床研究試験のご紹介
2022年1月から、当院では、多系統萎縮症の方を対象に臨床試験(AMULET試験)を実施しています。
AMULET試験とは?
AMULET試験は、治験薬が安全で、多系統萎縮症(MSA)患者さんの疾患進行の遅延に効果があるかどうかを調べることを目的としています。この治験では、治験薬とプラセボ(有効成分を含まない偽薬)を比較します。
MSAでは、脳内のタンパク質であるα-シヌクレインが正常な構造と機能を失っていることが実証されています。α-シヌクレインが異常な折り畳み構造をとり、脳全体に広がることがあります。これがMSAの原因であると考えられています。
試験管や動物を使った研究では、研究者は、α-シヌクレインに対する抗体を使用することで異常な折り畳み構造のα-シヌクレインの拡散や量を減らすことができました。
本治験薬は、異常な折り畳み構造のα-シヌクレインに対する抗体であり、それらのタンパク質を除去します。
現在、MSAの治療に使用可能な治療法はなく、MSAの症状に対する治療法の選択肢は限られています。本治験では、MSAの進行遅延について、治験薬の安全性と有効性を評価します。すべてのリスクが把握されているわけではありません。
臨床研究試験について
治験とも呼ばれる、臨床研究試験は、 特定の病気や患者さんのグループの治療に、治験薬が安全で有効であるかどうかを判断するために実施されます。
これらの試験期間中に、使用される治験薬の効果に関する情報が収集されます。臨床研究試験が完了すると、規制当局がこの情報を慎重に審査します。次に、その治験薬をさらに試験するべきかどうかを決定します。
参加する患者さんの権利を保護するために、臨床研究試験中に従うべきガイドラインや規制があります。これらの規則はまた、試験が倫理的かつ承認された医学的基準の範囲内で実施されることを確証しています。
AMULET試験における実施内容とは?
AMULET試験期間は、70~94週間で次の期間が含まれます。
- スクリーニング:治験チームは、あなたがこの試験参加に適格であるかどうかを判定します。
- ランダム化:あなたは、治験薬またはプラセボ(有効成分を含まない偽薬)のいずれかの投与を受けるためにランダムに(偶然に)割り付けられます。
- 治療:あなたは、割り付けられた群に基づいて、治験薬またはプラセボのいずれかの投与を受けます。
-治療期間には14回までの来院が含まれ、48~72週間かかります。
-治験薬は、4週間毎に1回、30分間かけて腕の静脈から投与されます。続いて少なくとも2時間あるいはあなたが安定するまでのいずれか長い方の時間をかけて、血圧と脈拍を30分ごとに測定することで、投与直後の副作用をモニターします。 - 安全性のための経過観察:可能性がある副作用の最終評価のために、治験薬またはプラセボの最終投与を受けた20週間後にもう一度来院します。
主な参加基準
<主たる選択基準>
Screening Visitの時点で、Gilman分類によるパーキンソニズム優位サブタイプ(MSA-P)又は小脳失調優位サブタイプ (MSA-C)の possible MSA又は probable MSAと診断された患者
Screening Visitの時点で、運動機能及び/又は自律神経(起立性又は排尿)MSA症状が発現してから5年未満であると治験責任医師が判断した患者
Screening Visitの時点で、UMSARS Part Ⅰのスコアが16以下の患者(性機能に関する質問11は除外)
Screening Visitの時点で、モントリオール認知評価 (MoCA)の評価で認知機能のスコアが22以上の患者
40歳以上75歳以下
治験期間を通じて、介護者の情報提供が必要な場合(3か月毎に1回程度)に協力可能な、あなたのことをよく知っている信頼できる介護者がいる
-この試験の目的のために、介護者は通常週に約3時間以上、あなたと一緒に過ごし、治験チームにあなたの症状について伝えることができる人であるとする
<主たる除外基準>
過去12ヵ月の間に、抗 α-シヌクレインモノクローナル抗体又は α-シヌクレイン凝集阻害薬の投与を受けた患者
α-シヌクレインを標的とする活性ワクチンの投与歴がある、又は現在投与を受けている患者
MSAの病歴を持つ血縁者が2人以上いる患者
重篤な神経障害、他の頭蓋内又は全身性疾患、若しくはMSA以外と診断される症状のエビデンス(臨床的又はMRI)及び/又は病歴がある患者
偽MSAの可能性がある運動障害、例えば、パーキンソン病、レビー小体型認知症、本態性振戦、 進行性核上性麻痺、脊髄小脳失調症、痙性不全対麻痺、大脳皮質基底核変性症、若しくは血管性、薬理学的又は脳炎後のパーキンソニズムとの診断を現在受けていると、治験責任医師が判断した患者。
この試験に参加するためのその他の要件があります。
治験チームは、あなたとあなたの介護者にこれらについて話し合います。
受付予定期間
受付予定期間は2022年1月から2022年6月までを予定しておりますが、試験の進行状況によっては変更される場合があります。なお、試験の詳細につきましては、試験担当医師が説明いたします。
当院での連絡先
- 治験責任医師
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岐阜大学医学部附属病院 脳神経内科 教授 下畑 享良
受付時間 平日午前9時~午後4時 外来電話番号 058-230-6000(代表)
- 本試験にご関心のある場合
- 本試験に関心がある、または、本試験への参加をご希望される場合は、本情報をもとにまず上記の基準を満たすかどうかをかかりつけ医にご相談され、岐阜大学医学部附属病院脳神経内科に紹介状をもって予約の上、受診してください。

