コラム

神経所見・検査所見

2019.11.15

誘発できる眼振

回診で小脳性運動失調の患者さんの診察をして「眼振はありませんね」と言ったところ,学生が「見ることができず残念」という顔をしたので,「このスマホの画面を見てくださいね」と患者さんにお話し,眼振を誘発してみせました.みな,何が起こったのか?と驚いていましたが,これは生理的な眼振,視運動性眼振(optokinetic nystagmus;OKN)です.赤白の縞模様が流れる専用アプリを使います(私はOKN stripesを使っています).指標が同じ方向に大きく動く時,指標を追うよう遅い眼球運動(緩徐相)と,リセットのための逆向きの速い眼球運動(急速相)が繰り返されます.OKNは網膜上の像が外界の動きによってブレないよう重要な役割をしています.診察では指標を左右に動かして,OKNの左右差を確認します.ちなみにOKNは1820年,小脳プルキンエ細胞の命名者であるJ. E. Purkinje(1787-1869)によって初めて記載されました.

動画はYouTubeより.

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