Cortexyme社という創薬ベンチャーがScience Advancesに報告した驚くべき論文をご紹介します．アルツハイマー病（AD）の原因は，P. gingivalisという歯周病菌であり，これを標的にすれば治療が可能だというものです．この菌は歯肉から歯磨き等で血中に入り，加齢や脳血管障害で脆弱化した血液脳関門を通過し，脳内に侵入します（ヒト脳内に菌のDNAが検出されています）．この菌はタンパク分解酵素gingipainを分泌します．図は脳の海馬の神経細胞がgingipainで染まっていることを示します．この酵素はAD脳で重要視されているタウタンパク質を切断し，AD脳への変化の引き金を引くと著者らは述べています．Cortexyme社はgingipainの阻害剤を開発し，その有効性を複数の実験で示し，すでに臨床試験を開始しています．研究の詳細と問題点はブログに記載しました．
論文を読みつつ，胃がんとピロリ菌の関連が明らかになったときのことを思い出しました．もし事実ならADの予防や治療が大きく変わると思います．臨床試験の成功を期待しつつ，まず私たちにできること，つまり歯周病予防と治療をしっかり行う必要があると感じました．
Dominy SS, et al. Sci Adv. 2019;5(1):eaau3333.

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Cortexyme社

https://www.cortexyme.com/