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Q&A

膠原病って何?

 膠原病とは細胞間を結びつける組織(結合組織など)に炎症が起きる病気の総称です。といいましてもイメージがわきにくいですが、全身の血管や皮膚、関節、筋肉に炎症、痛みが起こる病気を大きな概念として膠原病と呼んでいます。よく原因不明の発熱(不明熱)などから発症することもあります。代表的な疾患に関節リウマチがあり、リウマチ性疾患と呼ばれることもあります。また下記に示したように自己免疫反応により起こる病気でもあり自己免疫性疾患と呼ばれることもあります。

膠原病の原因

以前は原因不明の病気とされていましたが、現在は自分自身の関節、筋肉、皮膚などの組織に対して攻撃してしまう抗体(自己抗体)をなんらかの原因で体の中に作ってしまい、その反応により組織の障害、炎症が起こるとされています。本来免疫反応は外部からの細菌など異物に対して起こるものですが、自己の組織に対して反応してしまうのです。
 膠原病には遺伝的、体質的要素も関与していると考えられますが、それだけでは説明できず、環境因子やウイルス感染などが引き金で発症すると考えられます。なお難病というイメージをおもちの方もいるかもしれませんが、癌などの悪性の疾患ではなく、ステロイドなど免疫抑制作用の治療薬もあります。
 現在は免疫作用を抑えることが中心で根本的な治療は困難ですが決して治らないという病気ではありません。病気と上手く付き合っていくことが大切です。

膠原病の症状

 原因不明の発熱、関節痛、筋肉痛や湿疹などは膠原病全体に多く見られる症状です。冷たい水に手をつけたとき手の指が真っ白になるレイノー症状や目・口の中の渇き、脱毛、日焼けによる水ぶくれ、口内炎なども特徴的な症状の1つです。膠原病といってもその中には下記に示すようにいろいろあり、それぞれ特徴的な症状がありますので、疑われる症状があれば医師による診察が重要です。

膠原病に含まれる病気

 全身性エリテマトーデス*  ウェゲナー肉芽腫*
 関節リウマチ  高安大動脈炎*
 強皮症*  側頭動脈炎
 皮膚筋炎および多発筋炎*  好酸球性筋炎
 結節性多発動脈周囲炎*  成人スティル病
 リウマチ熱  強直性脊椎炎
 シェーグレン症候群  ベーチェット病*
 混合性結合組織病*  サルコイドーシス*
 リウマチ性多発筋痛症  壊死性血管炎
 ライター症候群  その他の疾患

*印の疾患は特定疾患治療研究事業対象(公費対象)の疾患

いわゆる古典的膠原病というと、上の表のうち赤字で示す六つの疾患を指します。ただ最近では膠原病関連疾患として自己免疫疾患も含み、膠原病科あるいはリウマチ科が担当している病院が多いです。当科で扱う疾患も上記疾患を含め多岐に渡ります。

膠原病の治療

膠原病と言う病気は「自分の体が起こす、自分の体に対しての異常免疫反応」として説明できます。その原因は完全には解明されていませんが、近年の医学の進歩により、その病態については少しずつ明らかになりつつあります。その成果を元に従来からの治療方法に加えて新しい治療を確立しようと、世界中の医療機関が努力を重ねています。全体的に発症年齢は若い傾向にあり、また治療が長期間にわたる疾患が多いために、副作用が少なく、限りなく治癒に近い疾患コントロールができるような治療法の開発が急がれています。当科ではこのような世界基準な治療法の実践を心掛けています。

1.非ステロイド性抗炎症剤

いわゆる解熱/鎮痛作用。微熱・関節痛などの膠原病に多く見られ る随伴随伴症状を楽にしてくれる効果があります。

2.ステロイド薬(副腎皮質ホルモン薬)

一昔前では膠原病の特効薬のような薬。現代でもまだまだ治療の主軸を担っています。「免疫」を抑える働きをもっています。本来体内で産生されているホルモンなので、副作用として使用量によってそのホルモン作用が過剰になることが問題になります。また自己判断での急な服用中止は危険です。

ステロイド薬の副作用
・血糖上昇(糖尿病になる可能性)・骨粗鬆症 ・胃潰瘍
・易感染(ばい菌に対して抵抗力が弱くなる)・中心性肥満(顔や体など中心部が太る)など

多くは予防や慎重な管理をしさえすれば対応できるものですが、感染症は重篤になると死に至ることもあり、日常的な感染予防は重要です。

 

3.免疫抑制剤

その名前のとおり、ステロイド薬と同様に「免疫」を抑えることで効果を発揮します。多くの種類があります。通常ステロイド薬に併用されることがほとんどで、重症例、ステロイド薬が効きにくい難治例や将来的に状態悪化が予想される症例に積極的に使用されます。薬毎に副作用は異なりますが、総じて言えることはステロイド薬だけの場合よりも易感染傾向が増します。

4.血漿交換療法

最近膠原病の病態には血液にのって全身を流れる様々な物質(抗体、炎症物質であるサイトカインなど)が深く関連していることが言われており、これらを除去することが有効な病気があります。具体的には血漿という血液の成分を入れ替えることになります。免疫抑制剤等と同様に重篤な状態や難治例の膠原病関連臓器障害の治療に用いられます。

5.抗サイトカイン療法

上述したような炎症物質に相対する薬剤を使用することで病気をコントロールしようという治療法です。現時点で国内使用の承認されているものは関節リウマチ、その中でも限られた症例だけです。しかし、今後はステロイドに並んで治療の主軸になってくる可能性があります。
 これらの薬剤を単独、もしくは組み合わせて治療をしていくことになりますが、教科書どおりの画一的治療では難しいことが多く、当科のような専門科で各患者さんの体の状態に応じた治療法を選択・実施していくことが重要です。

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