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Q&A

糖尿病の治療法って?

 糖尿病の治療には①食事療法、②運動療法、③薬物療法の3つの柱があります。

食事療法

 食事療法を行う前に現在の食生活を見直し、治療に対する動機を高め、治療を習慣として身につけることが必要です。

 ①食生活の見直し

 患者さん自身に食事内容を記録してもらい、食生活のどこに問題があるかを検討することが必要です。食事記録を検討することで、摂取エネルギーだけでなく脂肪摂取の過剰などの食生活の嗜好を知ることができます。

 ②治療に対する動機を高める

 糖尿病はなぜ治療をする必要があるのか、食事療法がどのような効果をもたらすかを知識としてだけではなく、適切な食事療法によって実際に血糖値や脂質の値が低下することを実感して頂くと治療に対する動機も高まります。

 ③治療を習慣として身につける

 糖尿病の治療で最も大切なことは、治療を中断しないことです。例えば合併症のひとつである網膜症で失明に至った患者さんの半数は、検診などで糖尿病とわかっていたにも関わらず、自覚症状がない、忙しい、大丈夫などの理由で治療を中断してしまったためです。
 具体的には1日の摂取エネルギーの総量は標準体重をもとに計算をします。標準体重の算出にはbody mass index(BMI)をもとに計算する方法が広く用いられています。22が理想的、25以上を肥満します。この理想体重をもとにそれぞれの患者さんの職業や労作の強度を考慮して実際の摂取エネルギーを計算していきます。また糖尿病の食事療法が簡単に行えるようにと、日本糖尿病学会からは「糖尿病食事療法のための食品交換表」が出版をされています。

運動療法

 運動は筋力の低下を防ぎ、ストレスを解消し、心肺機能を維持向上させるために重要です。現在の社会生活では鉄道や自動車の普及によって日常生活のなかでの運動量は極端に減少しています。運動不足は骨格筋の減少、脂肪細胞の増大をもたらし、血糖値を下げるインスリンの抵抗性を助長し体内の血糖の処理を妨げます。糖尿病における運動療法の目的はインスリン抵抗性を軽減し、糖尿病の進展、種々の合併症を予防しさらにはストレスを解消し、心肺機能や筋力を維持することに有用です。運動はただ血糖を下げるためだけではないのです。
 2型糖尿病や肥満の患者さんでは体内の過剰脂肪を減らすことが重要です。体脂肪を減少させるためには摂取エネルギー量を減らすのみでは不十分です。摂取エネルギーのみの低下は脂肪や水分を除いた骨格筋や骨の総量の減少をまねき脂肪量の減少に結びつきません。適切な食事療法と運動 を組み合わせることによって初めて体脂肪の減少をはかることができます。
 運動によって脂肪を効率よくエネルギーとして用い、体脂肪を減少させるには身体に十分に酸素を取り入れながら行う有酸素運動が必要です。一般的には最大酸素消費量の40%前後の運動を1回15分から30分、消費エネルギーとして160-240kcalを週3回程度が望ましいといわれています。

薬物治療

 インスリン分泌細胞である膵臓のβ細胞が破壊されてインスリン分泌が枯渇してしまう1型糖尿病ではきめ細かなインスリンによる治療が必要です。
 インスリン分泌の低下とインスリン抵抗性の双方の関与が考えられる2型糖尿病ではさまざまな薬剤が患者さんの状態に合わせて用いられます。

αグルコシダーゼ阻害薬
 小腸に存在する二糖類分解酵素であるαグルコシダーゼの作用を阻害し、食事による血糖値の上昇  を抑制する薬剤です。この薬剤自体には血糖値を低下させる作用はなく、単独で用いても低血糖は  きたしません。

速効型インスリン分泌促進薬
 速効性の短時間作用性インスリン分泌薬であり、服薬後速やかにインスリン分泌が促進され、しかも作用が短いため低血糖がおこりにくいとされています。

スルホニル尿素薬
 膵臓のβ細胞からのインスリン分泌能が比較的保たれているが、食事療法、運動療法によっても十分良好な血糖が得られない場合に使用します。β細胞からのインスリン分泌を促進し血糖降下作用を発揮します。

ビグアナイド薬
 直接のインスリン分泌作用はありませんが、肝臓における糖新生の抑制、消化管からの糖吸収の抑制、筋、脂肪組織でのインスリン感受性の改善などの作用があります。

 

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