分子・構造学領域開講科目 細胞情報学

 

講義の目標
 細胞シグナルの中でも、特に細胞の生・死の制御に関わる情報伝達機構についての基礎知識を講義する。がん細胞ではアポトーシスを効率よく誘導することが、一方虚血部位や劇症肝炎ではアポトーシスを抑制することが予防や治療につながることから、細胞の生と死のシグナルメカニズムについて理解することは、基礎のみならず臨床医学研究においても極めて重要である。細胞膜受容体から、カスパーゼ、ミトコンドリアの機能を制御するBax/Bcl-2系、JNK系、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ/Akt系など、この分野の情報伝達因子は多岐に渡っており、これらそれぞれの因子の構造と機能のみでなく、それぞれのクロストークについても講義し、細胞の生存および死に関する基本事項を修得することを目的とする。

 

細胞情報学講義(1)  講義形式で1時間

  1. イントロダクション 細胞の生死の制御とその異常
  2. 細胞の生死における細胞間情報伝達
  3. 細胞膜受容体の構造と機能
  4. アダプタータンパク質と情報ネットワークの形成
  5. Bax/Bcl-2系の構造と機能
  6. ミトコンドリアとアポトーシス
  7. カスパーゼカスケード系とシグナル伝達
  8. 膜スフィンゴ脂質を介する死のシグナル伝達
  9. ストレス応答とJNK/p38MAPK系
  10. 活性酸素種(ROS)とアポトーシス
  11. 染色体ダメージとp53
  12. 生存・分化におけるMAPキナーゼ
  13. ホスファチジルイノシトール3-キナーゼとAktによる生存シグナル
  14. 膜脂質シグナルのクロストーク
  15. 生存シグナルによる死のシグナルの制御

 

細胞情報学講義(2)  テュトーリアル形式で2時間

  1. カスパーゼ活性化カスケード
  2. ミトコンドリアとアポトーシス
  3. 膜質シグナルによる細胞生・死の制御
  4. 活性酸素種とp53
  5. アポトーシスと発生分化、形態形成
  6. アポトーシスの異常と疾患
  7. 最近のトピックス
  8. まとめのディスカッション

 

1月末までに提出されたレポートにより、評価を行なう。
レポート課題については講義中に指定する。