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VOICE -岐大医学部から- 消化器病態学分野からのメッセージ

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『VOICE-岐大医学部から-』第68回は、2015年2月に就任されました、医学系研究科 腫瘍制御学講座 消化器病態学分野 教授 清水 雅仁先生にお話を伺いました。

■ 医師になられたきっかけは?

清水教授
略 歴
1995年 岐阜大学医学部 卒業
 同 年 岐阜大学医学部附属病院 第一内科 入局
2001年 岐阜大学大学院医学研究科博士課程 修了
2002年 Columbia University Medical Center 研究員
2006年 岐阜大学医学部附属病院 第一内科 助教
2013年 同 講師
2015年 2月より現職

両親や祖父母から、人の役に立つ仕事、人に感謝される仕事を志すよう言われていました。医師ならば、怪我や病気で苦しんでいる人の役に立てるのではないかと漠然とイメージし、医師を目指そうと考えるようになりました。

自然科学や生命に興味を持っていたことも、医師の道に進もうとした要因だと思います。また、本や漫画を読むことが好きだったので、登場する医師の姿や手塚治虫の『ブラック・ジャック』に対する憧れもあったのかもしれません。

医学部に入学し専門課程が始まってからは、肝臓病学に興味を持つようになりました。肝臓は、栄養・代謝、解毒、免疫といった生体の基本的活動を制御する非常に重要な臓器です。また、がんの診療や研究をしたいとも考えるようになりました。

病気・患者さんを鑑別診断から治療までトータルに診たいと考えていたので、内科に興味がありました。大学5年生の時の講義で、「第一内科(消化器内科・血液内科)は世界に先駆けて、肝性脳症の治療薬や肝臓がんの予防薬を開発している」と教わりました。私にとって非常にインパクトのある講義内容であったため、今でもはっきりと覚えています。肝臓・消化管の病気やがんを勉強するには最適と考え、岐阜大学医学部第一内科に入局し、消化器内科の道に進みました。

 

■ 教授としての抱負は?

我々の教室は、昭和28年に開設された伝統と歴史のある教室であり、特に肝不全や肝硬変、肝臓がんなどの慢性肝疾患の治療や研究を主に行ってきました。このような教室の伝統を継承していくと同時に、病気・疾患そのものがシフトしてきた昨今の状況を考え、新たな分野にも注力していかなければならないと思っています。

私が医師になった頃は、低栄養で筋肉が減っている肝硬変の患者さんが多くみえました。しかし現在では、食生活やライフスタイルの変化による過栄養で、肥満やメタボリックシンドロームを合併した慢性肝疾患の患者さんが増えています。また、そのような患者さんほど肝臓がんになりやすいということも分かってきました。抗ウイルス治療が非常に進歩しましたので、今後、ウイルス性肝炎の患者さんは減っていくと考えられますが、「メタボ肝炎」や「メタボ肝がん」の診療・研究についてはしっかり行っていく必要があります。

清水教授

また、近年、大腸がんや膵臓がんの患者さんが急激に増えてきていますが、これらのがんも肥満やメタボリックシンドロームとの関連性が指摘されています。大学病院の内視鏡診療を担う光学医療診療部をさらに発展させていくことで、食道、胃、大腸といった消化管のがんや膵臓がんに対する、内視鏡的診断や治療技術の向上に努めていきたいと考えています。消化器のがんは、早期発見・早期診断・早期治療により内視鏡的に治癒が得られる場合があります。我々の医療レベルを更に上げるとともに、消化器外科をはじめとする他の診療科との連携を深めることで、より患者さんの期待に応えられる診療科を目指します。

岐阜県の地域医療も視野に入れ、第一内科同門の先生方にご支援ご指導をいただきながら、より一層教室のスタッフと力を合わせ、患者さん一人一人のために責任のある医療を行っていきます。

 

■ どのような研究を行っていますか?

大学院生時代は病理学教室へ学内留学させていただき、がんの発生機序に関して学びました。また、多数の病理解剖も経験させていただき、発症・診断から治療経過まで総合的にがんの診療・研究を行えたことは、医学研究者として大きな財産になっています。

今後は、がんを「予防」する研究がより重要になってくると考え、大学院生時代から化学発がん予防(cancer chemoprevention)の研究に取り組んでいます。Chemopreventionとは、がんに進展する前の「前がん状態」で病変を止め、生体から消去することで発がんを抑制する概念・方法です。具体例を挙げると、私たちは緑茶抽出物の補充投与が、内視鏡的切除後における大腸腺腫(ポリープ)の再発抑制に有効であることを、大学病院を含めた第一内科関連病院間の多施設共同臨床研究で明らかにしました。基礎および臨床研究を進め、積極的なアプローチによる新規がん予防法を開発することを最終的な研究目標に考えています。

我々の教室では、前々任の武藤 泰敏岐阜大学名誉教授、前任の森脇 久隆教授(現学長)の2代にわたって、肝臓がんを予防する新薬(非環式レチノイド)の開発を進めてきました。非環式レチノイドについては、現在、最後の臨床試験が行われており、数年後には患者さんの元に届けることができると思います。これが実現すれば、岐阜大学オリジナルで世界初の肝臓がんを予防する薬が完成することになります。30年以上かけた研究の最後の一番良い場面に立ち会えることができれば、非常に幸運だと思います。

 

■ 医師を目指す学生にメッセージをお願いします

清水教授

今出来ること、今やらなければならないことを一生懸命やることが大事です。講義や実習の中には、あまり興味を持てない分野もあるかもしれませんが、少なくともその時々は真剣に取り組むべきだと思います。環境や状況によって、やらなければならないことが変わってきますが、勉強しなければならない時にはしっかり勉強し、遊ぶ時にはしっかり遊べば良いと思います。その時々に自分がいる場所で、全力を尽くさなければなりません。

あらゆる環境には、必ずチャンスがあります。与えられた環境の中で、その時にしか経験できない出会いを楽しみ、自分の世界を広げ、新しいものを見つけて、それを吸収することが自分自身の財産になります。出会った人たちを大切にして、良い指導者(mentor)や同僚を見つけることも大切です。人を大切にすることは、医師としての原点だと思います。

 


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