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VOICE -岐大医学部から- 総合病態内科学分野からのメッセージ

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『VOICE-岐大医学部から-』第64回は、2014年6月に就任されました、医学系研究科 医療管理学講座 総合病態内科学分野 教授 森田 浩之先生にお話を伺いました。

■ 医師になられたきっかけは?

森田教授
略 歴
1984年 高知医科大学医学部 卒業
 同 年 岐阜県立下呂温泉病院 医師
1985年 長浜赤十字病院 医師
1989年 岐阜大学医学部附属病院 医員
1993年 岐阜大学医学部 助手
1995年 米国ミズーリ大学 研究員
1999年 岐阜大学医学部附属病院第三内科 講師
 同 年 岐阜大学医学部附属病院総合診療部 助教授
2010年 岐阜大学人間工学研究開発センター 兼務
2014年 6月より現職

幼い頃は病弱で、自分では記憶にないのですが、両親からは髄膜炎で死にかけたと聞いています。5歳の頃には扁桃炎の手術も受けました。現在の扁桃炎手術は全身麻酔を行うのですが、当時は局所麻酔で手術を行っており、注射器の針が目の前に迫ってきて、麻酔をかけられる恐ろしい体験をしました。そんな体験や頻繁に病院に通っていたことから、病院は大嫌いなところで、まさか自分が医師になり、病院に勤めるようになるとは思ってもいませんでした。

高校3年生の頃、周囲の勧めや、自分の人生において人の役に立てる職業に就きたいとの思いを抱くようになり、新設の高知医科大学医学部に進学しました。1期生でしたので、授業で使う顕微鏡や部屋など全てが新品で気持ち良かったのですが、附属病院などの施設が整っておらず、6年間を通して建設現場の激しい音の中で勉強をしていました。当然、上級生はおらず、全てを自分たちで切り拓いていかなければならなかったので、同級生がお互いに協力し合い、皆が上を目指す雰囲気があり、強い繋がりを築くことができました。

医師としての専門を決めるときに小児科と内科で迷いましたが、医学部で受けた内分泌の講義に興味を惹かれ、内科の中でも内分泌を専門に選びました。消化器内科では内視鏡で消化管の腫瘍を見たり、循環器内科では超音波検査等で心臓の動きを見たりして形態的な観察ができますが、内分泌内科では病気は血液検査の数値として現れますが、概念的で目で見て分かるものではありません。また、ホルモンの影響を受ける臓器とホルモンを分泌する臓器が離れた場所にあり、一見、関連がない細胞が実は強い結びつきを持っていたりすることがあります。検査データを見比べ、患者さんの徴候を診て判断する内分泌内科は、最も内科らしい部門だと思います。


■ 教授としての抱負は?

私は、内分泌を専門にしていましたが、研修医の頃から自分の専門以外の内科系疾患を数多く診てきました。

90年代中頃に、政府が医師育成機関に向け、スペシャリストにはない、全人的に患者を診ることができる医師の育成が重要であると打ち出しました。大学病院は専門医療を重要視していますので、各診療科において自分が診る領域が、どうしても狭くなってしまっています。一方、高齢化社会においては、1つの病気だけではなく、高血圧や糖尿病・動脈硬化など複数の病気を抱えている患者さんが多くなり、そういった患者さんはいくつもの病院や診療科を回らなければならなくなり、とても大変です。そこで、全人的な医療を行う医師の育成が重要になってきました。

お腹が痛いとか身体が怠いとか、患者さんの訴えをよく聞き、身体所見と簡単な検査から診断をつけ適切な治療を行うことで、患者さんに安心してもらえることが総合診療の魅力です。

地域で活躍できる診断力に優れた医師を育成し、最先端とは言えないかもしれませんが、岐阜県内どこに住んでいても、通常の医療が安心して受けられるような医師の配置や体制づくりが、これからの課題だと思います。


■ どのような研究を行っていますか?

森田教授

当科には膠原病の患者さんが多く受診されますが、治療薬のステロイド製剤を使用すると半数くらいの患者さんに血糖値の上昇が見られます。中には糖尿病になってしまう患者さんがいますので、糖尿病になるのかならないのかを見極め、糖尿病になってしまう患者さんには、どのような治療薬が適しているかについて、臨床研究を行っています。

発熱が主訴で、簡単にはどのような病気か分からない患者さんが結構います。当科入院の37%が発熱患者さんです。発熱の原因は感染症・膠原病・腫瘍が3大疾患として挙げられます。感染症の患者さんに、膠原病の治療薬の免疫抑制剤を使用すると病状は悪化してしまいます。逆に、膠原病の患者さんに、抗生物質を投与しても効きません。発熱の原因によって治療法が全く異なるので、治療を適切に行うためには診断が最も重要です。発熱疾患の早期診断に繋がるマーカーの研究を行っています。

脂肪細胞についての基礎研究も行っています。脂肪細胞はヒトが産まれる前にほぼ分化は終わっていて、生後からは脂肪細胞は増えないと言われています。メタボリックシンドロームの患者さんは、脂肪細胞は増えずに1つ1つが大きくなることによって、脂肪細胞から色々な悪いサイトカイン(細胞間の情報伝達を担う低分子タンパク質)などが放出され、動脈硬化を助長したり、血圧やコレステロール値を上げたりしますが、小さな脂肪細胞の場合には、動脈硬化抑制などの作用がある、良いサイトカインのアディポネクチンなどを放出すると言われています。脂肪細胞も他の細胞と同様に、ヒトが成長しても増えることができるのではないか?という仮説を立て、増殖・分化・肥大化のメカニズムを捉え、それらをうまく調整することが、肥満治療に役立つのではないかという観点で研究を行っています。

また、工学部と連携して、超音波を用いた動脈硬化度を測定する装置や、関節リウマチ患者さんの関節炎の評価を簡便にできる装置の研究開発も行っています。


■ 医師を目指す学生にメッセージをお願いします

森田教授

学生時代は、とにかく勉強をしてください。研修医になってからは、多くの患者さんと様々な症例を診ることが勉強です。つまり、学生時代は、患者さんを診るために知識をできるだけ溜め込む時期なのです。多くの知識があると、医師になったときに爆発的に成長します。

また、基礎医学の知識や考え方は、病気の本質を理解するためにとても重要です。解剖学や生化学・生理学などで習ったことは、医師になって暫く経ってからですが、必ず役立ちます。

現在の医学の分野は広く深くなっていますので、自分がレベルの高い医師になりたいと思うのならば、学生時代が一番大事です。医師国家試験のためだけの勉強ではなく、医師になってからのことを考えて本質を理解する勉強に励んで欲しいですね。



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