岐阜大学医学系研究科・医学部


MENU




学内組織




学内専用ページ


VOICE -岐大医学部から- 退職教授からのメッセージ

近藤 直実 教授

[ 最新の記事 ]   [ 過去の記事一覧 ]

『VOICE-岐大医学部から-』第44回は、平成25年3月をもって退職される分子・構造学講座 小児病態学分野 教授 近藤 直実先生にお話を伺いました。

■ 教員生活を振り返って

近藤教授
略 歴
1972年 岐阜大学医学部 卒業
1974年 名古屋第一赤十字病院 小児科医師
1976年 岐阜大学医学部 助手
1980年 同 講師
1984年 同 助教授
1995年 同 教授
2005年 岐阜大学大学院医学系研究科長・医学部長を併任(2008年まで)
2007年 岐阜大学大学院医学系研究科・医学部地域医療医学センター長を併任(2008年まで)
2012年 岐阜大学医学部附属病院新生児集中治療部長を併任
2013年 3月をもって定年退職

臨床医として名古屋第一赤十字病院で患者さんを診させていただきながら、できるだけ研究や病気について追究をしていこうと思っていました。そのきっかけとなったのは、無ガンマグロブリン血症の患者さんとの出会いでした。通常の検査ではできなかったことを検査室の方と協力し合ったり、色々な検査データを基に論文を発表したりしました。大学に戻ってからも研究を続け、病気の原因や治療法の探求や、病気になる理由を遺伝子やタンパク構造から見つけ出す研究を行なってきました。

昔は当直勤務をしていると喘息の発作で多くの患者さんが来られましたが、今ではこのような症状で夜間診療に来られる患者さんは少なくなりました。良い薬ができ、ガイドラインがしっかりしているおかげです。しかし、実際は治りきっていないのです。我々の世代が薬を飲み続けることは仕方がないにしても、2、3歳の小さなお子さんが一生薬を飲み続けるなんて考えられないぐらい大変なことです。治りきる根治療法と発作が起きた時などの対症療法を併せた治療方法を『両輪療法』と名づけて提言してきました。

また、患者さんはそれぞれに病気の理由や状況が違いますので、『テーラーメイド医療(個別化医療)』にも力を注いできました。食物アレルギーに対して、"食べて治す食品"を提案し、おかげさまで関係各省などから研究費をいただけて研究をすることができました。

研究科長・医学部長として職務にあたっていたときは、少しでも大学全体がランクアップできるようなことが重要だと考えていました。

教育面での取り組みは、多くの教員の方々と事務の方々と共に入試改革が進められ、地域枠推薦入試が実施されたり、一般選抜入試が後期日程に移行したりしました。その結果、後期日程では70倍、80倍もの入試倍率となり、全国から多様な人材が入学することになりました。色々なバックグラウンドを持った学生が一緒の教室で学ぶことは、非常に良いことだと思います。将来が楽しみです。

研究面での取り組みは、有名な学術雑誌の頭文字をとった『NaSNeLC(ナスネルク)企画』をすすめました。これは、各々が行なっている研究がbig journalに掲載されるようなレベルに上がってもらいたいとの考えから、研究会を開催したり研究費助成を設けたりした企画で、これまでに2人がそれらに掲載されました。

地域医療医学センターを開設した際には、岐阜県から寄付講座をいただき様々な研究に取り組みました。全国的に珍しい取組みでしたので、多数の見学者が訪れました。

準備期間に5年の歳月をかけた新生児集中治療部(NICU)が2012年に開設されました。これは、病院長をはじめ皆様の御指導と御努力の賜物です。岐阜県内にはいくつかのNICUがありますが、本学のNICUは難病にチャレンジしたり、診断名が付かない患者さんにちゃんと診断ができる対応を目指しています。


■ 小児科学の魅力は?

近藤教授

臨床医として患者さんを診るにあたり、小児科の患者さんは勝負が早いのです。症状が良くなるときも早いのですが、悪くなるときも急に悪くなります。的確に素早く対応できるようになるためには、まず小児医療をしっかりと勉強しなければならないと考え小児科医になりました。その後、内科などに勉強に行き、ゆくゆくは幅広い診療ができる臨床医になりたいと思っていましたが、結局、小児科医として現在に至っています。

それぞれの臓器に専門性を持って診ることも大変重要ですが、常に全体像を把握しながら、どこの病気かを判断し治療を行うことも大切です。トータル的に患者さんの疾患を診ることができることも小児科の魅力の1つです。

産まれて3~4ヶ月の赤ちゃんを抱っこすると、赤ちゃんの頬にお母さんの乳首が触れ、赤ちゃんが乳首のほうに振り向く『ルーティングリフレックス(探求反射)』という反射や、お母さんの乳首が新生児の唇に触れると、赤ちゃんが吸う行動を行う『サッキングリフレックス(吸啜反射)』が見られます。これらの反射により赤ちゃんは抱っこするだけでミルクを飲みます。脳がさらに発達し物を考えるようになると、自分の意識でミルクを飲むようになります。他の動物にも同じような反射が見られます。人間も動物も原点は同じなのです。小児科医として働いていると、生き物の原点を教えられているという思いがあります。このような魅力も学生に宣伝しています。


■ 次世代へのメッセージ

近藤教授

高度先進医療や地域医療なども含めて、目の前の患者さんに対応できる実力を身につけてください。リサーチマインドを大切にし、患者さんを診ると同時に研究をし、論文を書き、学会発表をし、自分が世界初で治療法を開拓するぞ!との思いを持って、医学の進歩に少しでも貢献して欲しいです。世界的にはそのような志を持った方が多くいらっしゃいますが、本学出身の一人ひとりがそのような気持ちでいて欲しいです。その結果が、今まで治らなかった患者さんが治るようになったり、診断できなかった患者さんに診断名を付けることができるようなるのだと思います。

私が研修医の時から今日に至るまでに、ものすごく良く管理ができるようになった病気がいくつもあります。その一方で、研修医の時に担当した患者さん(病気)で40年以上経った今でも、治療法があまり開発されていない病気もたくさんあります。どの分野でも治癒ができるようになれば良いのにとつくづく思います。

病気は環境との兼ね合いで起きます。治癒を考えると予防を含めて患者さん個々に対応しなければなりませんが、そもそも地球環境を悪くしてしまえば、病気が起きてしまいます。スギの木を植えすぎたり、地球温暖化でアレルギーが起きやすくなったと示唆されるデータがあります。地球環境も見直さなければなりません。医学を勉強すると同時に社会・環境・政治経済など広く理解して対応することが大事かと思います。

名古屋第一赤十字病院に勤務していた頃は、1日に100人ぐらいの患者さんを診ていました。日本の小児科は、現在はいろいろと改善されていますが、時には、いまだに診察の待ち時間が1~2時間あったり、風邪が流行っている中、辛い思いをして診察を待っている現場を見ていると何とかならないかと思います。日本の医療制度では、それだけ多くの患者さんを診なければ収支が合わないのかもしれませんが、欧米などは30分くらい応接室のような診察室でゆったりと診ます。是非、欧米のような診療の理想モデル作りにも機会があればトライしたいと思います。


《最終講義 開催風景》
会場の様子 最終講義 花束贈呈



問合せ先  〒501-1194 岐阜市柳戸1番1  岐阜大学 医学系研究科・医学部   電話:(058)230-6000
Copyright © 2009-2015 Gifu University School of Medicine. All Rights Reserved.