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VOICE -岐大医学部から- 寄生虫学・感染学分野からのメッセージ

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『VOICE-岐大医学部から-』第40回は、2012年9月に着任されました、医学系研究科 分子・構造学講座 寄生虫学・感染学分野 教授 前川 洋一先生にお話を伺いました。

■ 基礎研究の道に進まれたきっかけは?

前川教授
略 歴
1993年 徳島大学医学部 卒業
1994年 日本学術振興会特別研究員
1997年 徳島大学大学院医学研究科 修了
  徳島大学医学部 寄生虫学講座 助手
2002年 米国ワシントン大学病理学講座(免疫学センター) リサーチアソシエイト
2004年 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 助手
2005年 同 講師
2008年 同 准教授
2012年 9月より現職

大学に入学した時には、将来は臨床医になるのだろうなと漠然と思っていたのですが、在学中に色々な経験をしていく中で、基礎研究を行なうことに魅力を感じこの道に進みました。

基礎研究との出会いは、専門課程が始まる3年生の夏休みでした。寄生虫学教室に新任の教授が着任され、寄生虫学のほかに免疫学にも重点を置いて研究をされていると聞き、勉強や研究がしたいとの気持ちから友人と一緒に寄生虫学教室の門を叩きました。当時は未熟な学生ながら、寄生虫学教室で最先端の勉強や研究を行なっているという充実感が満ち溢れていました。

免疫学は、免疫反応を担う数多の細胞が協調して体を守っている仕組みを研究する学問です。免疫の仕組みは非常にダイナミックである一方、大変精緻に調節されています。私はこの仕組みを解き明かすことにとても魅力を感じ、大学卒業と同時に大学院生としてそのまま寄生虫学教室で基礎研究を続けることを選びました。


■ どのような研究を行なっていますか?

前川教授

微生物には、細菌・ウイルス・寄生虫などがあります。このなかで感染症を起こすものを病原体あるいは病原微生物といいます。寄生虫をはじめとする感染症は、病原体と宿主(私たちの体)の相互作用であるといえます。病原体側と宿主側の押し引きによって、病気になるかならないか、また病気の軽重が決まります。両者が押し引きをしているような境界面で一体どのようなことが起こっているのかを分子レベルで解明していきたいと思っています。

宿主は微生物のような異物が体の中に侵入してくるとそれを排除しようとします。これを生体防御機構といいます。生体防御機構は様々な免疫応答が幾重にも重なった階層構造をとっています。宿主はいくつものバリアーを準備することで多様な微生物感染に備えているのです。私たちの研究室では生体防御機構の中で特に免疫記憶機構について研究を行っていこうと考えています。私たちは、一度罹った感染症と同じ病原体が侵入してきた際には、感染したことに気付かなかったり、軽い症状であったりします。この「二度なし」現象を免疫記憶といいます。免疫記憶は記憶リンパ球が体の中で長期間生きながらえながら、記憶している異物の再侵入に備えています。予防接種は免疫記憶を利用したものです。しかし、免疫記憶についてまだまだわからないことが多く残されています。たとえば、記憶リンパ球はどのように分化してくるのか、またなぜ長期間生存していくことができるのか、などです。このような点を理解していくことが感染症に対するより有効な治療法や予防法の開発につながると考えています。

一方、寄生虫は宿主で感染を成立させるために様々な寄生戦略を持っています。たとえば、寄生虫が分泌する因子によって宿主の生体防御機構は撹乱されたり抑制されたりして適切に寄生虫を排除できなくなります。このような因子を同定し、その働きを明らかにすることによって新たな感染症の治療法を開発できると考えています。また、その因子の持つ作用を利用することによって、アレルギーや自己免疫疾患の治療へと応用できる可能性もあります。

私たちの研究室では、宿主生体防御機構と微生物の寄生戦略の両面から研究をおこない感染症をさらに理解し、その克服に貢献したいと思っています。


■ 医師を目指す学生にメッセージをお願いします

前川教授

独立した人間そして医師になってもらいたいと思います。現代の医療は一人ではできません。それぞれ独立した個人が協力し合って成立し、成果を上げます。その中で信頼される医師として中心的な役割を担っていただきたいと思います。

日々の学習や将来の医療現場では様々な疑問にぶつかると思います。その疑問に対して真摯に向き合うこと。ごまかさない、うやむやにしないことが大切です。そのためにはテュトーリアルコース等で学んでいる自学自習を生涯にわたって実践することが大切です。しかし調べてもわからない、納得がいかないという場合もあるでしょう。そういう場合に自分で研究して答えを出すという選択肢も捨てずにいてもらいたい。基礎医学に携わる立場からは、岐阜大学医学部出身者が一人でも二人でも基礎医学の道に進んでほしいと願っています。



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