岐阜大学医学系研究科・医学部


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VOICE -岐大医学部から- 退職教授からのメッセージ

高橋 優三 教授

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『VOICE-岐大医学部から-』第31回は、平成24年3月をもって退職される分子・構造学講座 寄生虫学分野 教授 高橋 優三先生にお話を伺いました。

■ 教員生活を振り返って

高橋教授
略 歴
1974年 奈良県立医科大学医学部 卒業
1975年 奈良県立医科大学第二解剖学教室 助手
1981年 奈良県立医科大学第二解剖学教室 講師
1983年 米国ジョンズ・ホプキンス大学医学部皮膚科 研究員
1984年 奈良県立医科大学寄生虫学教室 助教授
1992年 岐阜大学医学部寄生虫学分野 教授
2012年 3月をもって定年退職

自分の判断で行動し、自分で責任を取るのが大学の教員です。その生活は、月給を貰いながら自分の勉強をしているようなもので、私の場合も夢のような良い生活でした。

医学部を卒業し医師になりましたが、当時の私は臨床医に向いていないと直ぐに察知しました。そんな中、尊敬する母校の解剖学教授から研究を勧められ、その先生の教えを請いたいとの思いもあり解剖学講座から教員生活が始まりました。

カリフォルニア大学の研究員として細胞生物学を本格的に学び、その後ジョンズ・ホプキンス大学の皮膚科研究員として自己免疫性疾患の研究を行ない、帰国後は母校の寄生虫学講座で同じく細胞生物学の手法を用いた研究を行ないました。

20年間の岐阜大学での生活は、非常に快適に仕事をさせてもらえました。

医学教育開発研究センターの初代センター長を併任し、手本や見本がなく全くの手探りで全国共同利用施設の運営を模索していましたが、皆さんの協力があって初めて活動できたのだと思います。

医学教育にかかわらず、教育で大事なことは『考える人間』を育てることです。記憶するための教育によってではなく、人は考えることによって役に立つ記憶が残ります。勿論、絶対に記憶しなければならないこともありますので、自学自習で考えさせる教育をどれだけの比率にするのかが重要です。個人的には、考えさせる教育の比率を60%にすることが丁度良いかと思います。


■ 寄生虫学の魅力は?

高橋教授

寄生虫が宿主に寄生する作戦が非常に面白いんです。寄生虫は敵(宿主)の中に入って、どのようにすれば生き残れるかを知っています。ただ単に敵と戦っている訳ではなく、敵の力を上手く利用して生きています。世の中でも敵を敵としているようでは生きていけません。敵を味方として利用する策略も必要です。

寄生虫の頭の良さは、彼らが分泌しているタンパク質に秘密があります。我々の教室では寄生虫が分泌するタンパク質を人工的に合成し、それが人間にどのような作用を及ぼすのかを研究しています。

寄生虫は敵の中に入っていますので、敵から自分を攻撃されないように指令を出します。この指令にはアレルギーを抑える効果も含まれると考えられています。

マウスを使用した実験では、旋毛虫を感染させても毛並みは良く、見かけ上は正常です。一部の免疫機能は低下しますが、アレルギー性神経炎を抑えられることが確認できています。これらの作用を自己免疫性疾患などの症状を抑えることに活用できるように、それを担うようなタンパク質の合成がひとつのゴールです。


■ 次世代へのメッセージ

高橋教授

大学は自分の夢を追い求めるところです。夢を追い求めるには『高い志』・『憧れ』・『感性』を持つことが大切です。高い志がなければ妥協してしまいます。夢や憧れがなければ挫折してしまいます。綺麗なものや凄いことに対する感性を持たないと個性が出ません。

『失敗したら誰が責任を取るのか』といった考え方では、人は育ちません。各々に裁量権を与え、上手く行った時はなぜ上手く行ったのか検証し、失敗した時はなぜ失敗したのかを自分で考えることが大切です。

また、失敗した時は責任を追及し過ぎると人は萎縮してしまい臆病になってしまいます。

事務の仕事についても、入学試験業務以外は80%の出来で良いと思います。残りの20%は、その人を成長させるための投資として失敗を容認すべきでしょうね。上に立つものは、部下の失敗を腹の中に収める器量を持つべきです。そうでないと人は育ちません。


退職後は、高校時代からの夢であった、大自然を相手にするような人生を歩もうかと思っています。

今の世の中は貨幣経済にものすごく影響を受けています。お金は世界経済の荒波に揉まれ人を狂わせます。また、ライフラインにおいても誰かに依存しています。私もその中で生きていますが、100%の自給自足は難しいとしても、食べ物や身の回りの物を30%なり50%確保する生活が出来ればと考えています。

全てを世界経済に依存した生活がいかに非人間的なのか。効率化は必要ですが、あまりにも効率化を進めてしまい、自分の生活が他人に依存しているのはおかしいと感じています。効率化が全てではありません。もう少し違った要素があっても良いのではないでしょうか。そんな世の中に、ほんの少しだけ反乱を起こして、人間としての生き方を見つめなおしたいと思っています。



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